第14回 吹き消されつつある灯

2006年3月7日、FF12の全国発売に先駆ける事9日、FF12とサントリーとのコラボレーションによって実現する事となった「ポーション」が発売された。
発売当日から、次々とウェブ上にアップロードされる飲料水「ポーション」の感想。私はそれを見、「美味しかった」という意見を見るにつけ「おお流石は『ポーション』だな」と思い、「不味かった」という意見を見るにつけ「良薬口に苦しなんて言葉もあるからなあ」なんて事を思っていた。
多分私自身は、そもそも地元では売ってないだろうから飲む機会がないだろうと思うが、それにしてもこの「ポーション」についてちょいとばかり気になる事がある。

CMである。
当該CMをご存知の方は多いだろう。一応掻い摘んで説明すれば、店頭に一本だけ残った「ポーション」の購入権を巡って一人の男と一人の女が鬼気迫るバトルを繰り広げる、と言った感じのCMである。
このCMを見ていて気になるのだった。もしかしたら私と同じ事を思った人は結構いるのかもしれない。ファイガはどうした、と。
CM内での男と女のバトルは何故か魔法のみで進行していくのだが、その中で登場する魔法、それがブリザガにサンダガにエアロガの三種である。CMというものがインパクトを求められるものなのであれば、各属性において最高峰の威力を誇るこれら魔法を登場させる事には何ら疑問を感じ得ない。
しかし何故、ブリザガとサンダガとエアロガの三種なのか。何故そこでファイガは選に漏れてしまったのか。FF1の頃から登場していたファイガが切り捨てられ、これら魔法の中ではかなり陰の薄いエアロガが表舞台に立つという奇妙な現象。ファイガの心持ちは穏やかじゃないだろう。自分がこれまでのFFにどれだけ貢献してきたかお前等は分かっているのかと、未だレギュラーに定着してすらいないエアロガなんかに水をあけられるなんて事が許される筈はないと。

俺はいつだって基本三属性乃至は基本四属性の中で先頭きって名を挙げられる存在だったんだぞ。FF2以外の全ての作品で活躍している。片やエアロガはどうだ、FF3、5、6と出てきた後はもうまともに姿も見なくなったじゃないか。しかも何だ、青魔法だ? 覚えるのが甚だ面倒臭いじゃないか。こちとらしかるべきギルを払えばそれだけでメンバー全員が唱えられる様になるか或いはしかるべき魔石を装備して何ぼかバトルしてたらその内自然に修得出来ちゃってるという手軽さ。どうだ、特定のキャラクターが喰らえばそれだけで修得出来るとは言ってもエアロガを使用するモンスターに出会わなけりゃならなくて事によればわざわざそういう相手を探さなけりゃならない奴なんかとは比べ物になる筈もないだろ。
エアロガだけじゃないぞ。個人的にはサンダガが選ばれてるのも腹立たしい。あいつは今でこそ俺と同列に並ぶ魔法という扱いになってるけど、でも後輩に当たるんだからな。あいつはFF3からの登場なんだから。FF2で出て来てないのは俺と同じだけど、FF1ではサンガーとかいう名前だったんだから。そんなの誰もが忘れてるのを良い事に何食わぬ顔で起用されやがって。あいつはあれだな、先輩に対する敬いの精神がないな。三年先輩であるという事がどういう事かってのを知らないんだもんな。世間知らずも甚だしい。
おい、もしかしてあれか、今回のFF12はFFTで舞台となったイヴァリースの話らしいけど、そのFFTで炎属性があんまり役に立たなかったのをまだ根に持ってるのか。いや確かにそれ事実だろうけどさ、それはFFTに登場するモンスターの中でも厄介な部類に入る奴等に炎属性弱点ってのがあんまりいなかったからで、魔法の威力そのものがブリザガだサンダガだに比べて低いとかいう訳じゃないだろ。つーかそんな事言い始めたらFFTにエアロ系魔法なんてなかったじゃねーかよー。
オイ、考えてもみろよオイ、舞台はいわゆる所のファンタジーな世界だろう。尚且つ魔法だ。「魔法」と言われて頭に思い浮かぶ数々の摩訶不思議な現象。その中でもまず真っ先に挙げられるものと言えば何だ。それは「火」であるに他ならないだろう。古来から動物が恐怖の対象として見た「火」 時には大森林すら焼き尽くすだけのパワーを秘めたる「炎」 これこそが「魔法」という要素、ファクターを語る上での必ずや代表格となる筈の存在じゃないか。
或いは名前を見てみなさいよ。ブリザガ、サンダガ、エアロガ。ね、今このページを見ている人達にとっては全然いいでしょうよ。でもこれはCMだ。コマーシャル・メッセージだ。普通に全国のテレビで流れる映像、音声なんだ。FFを知らない人達だって見ているんだよ。つーか数で言えば絶対そっちの方が多いでしょう。そんな中でブリザガだのサンダガだの言われてもそういう人達にしてみれば訳が分からないじゃないか。勿論それがある程度はしょうがない事だってのは分かる。視聴者へのメッセージ性を求めるのなら、本当であればここは元々の英語により近いブリザド、サンダー、エアロといきたい所だけれど、でもそれよりも大事なのはインパクトだから、ここに一般の人には聞き慣れないガ系魔法を持って来るのは致し方のない事だ。でもそれだったら、まだ基本系のファイアを連想し易い方であろうファイガが選ばれるべきじゃないのか。この観点で言えばエアロガなんてのは「エアロ」って入っちゃってるもんだからさしもの俺も引き下がらざるを得ない。サンダガもまあ良いとしようか? でもブリザガはないだろう。何処のFF知らずの人が「ブリザガ」なんて言葉から即座に「ブリザード」を連想出来ると言うんだ。俺は声を大にして言いたいね。ここは俺だろって。違うかい?

こんなに強く、熱く主張しても、ブリザガとサンダガとエアロガの三者がCMに登場している現実は変わる筈もないのだった。
明日、FF12発売日。ゲーム内でのファイガの扱いが注目される。


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