第5回 211

FF8で「211」とくれば、それだけでもうピンとくる人も多いんじゃなかろうかと。この番号は「おでかけチョコボRPG」において、ポケステのシリアルナンバーの下三桁別に割り振られてる七段階のグレードの中で、最高グレードを誇るIDナンバーである。
じゃあグレードって何ぞや? 知らない方の為に説明しよう。
これが違うと、随分と待遇が変わってくる。例えば、コチョコボのHPに差が出てくる。優良IDであればある程高く、劣悪IDであればある程低く。最高グレードと最低グレードとでは10もの差になってしまう。「10っつったらそんな言う程の差でもねーじゃん」とか思ってるそこの貴方、それはお門違いというものだ。何せコチョコボのHPはレベル1の段階で6〜16、レベル100になっても31〜41までにしかならないんだから。
他にも、入手出来る武器の強さに差があったり、拾えるアイテムのランクに差があったり、とにかくグレードが高ければ高い程、良い扱いを受けるコチョコボでプレイ出来るって訳だ。
つまりまあグレードってのは「おでかけチョコボRPG」をプレイする上で非常に重要なものであるって事なんだけれども、ここで今回私がグチりたいのは、高グレードのIDがあまりにも少な過ぎるんじゃないのかっていう事なんだよ。

とにかく、高グレードのIDはかなり少ない。参考までに、グレード毎に何種類のIDが存在してるかを確認しておこうか?

グレード種類数
11
23
38
49
59
690
7880

どうだい。最低グレードが1000種類中880種類って。つまり全国の「おでかけチョコボRPG」プレイヤーの内、実に88%の人間はグレード7のコチョコボを掴まされているって事になる訳なんだよね。
これは理不尽だよ。何せポケステを買う側は大概においてシリアルナンバーを選んだりする権利なんてものは与えられてないからさあ。ポケステを買った人間の88%は、有無を言わさず割り当てられる最低グレードのコチョコボを甘んじて受け入れなければならんのだ。「甘んじて受け入れろ」と言われているんだ。どんなにFFへ無条件の愛を注いでも優良IDは得られない。ファミコン時代からFFをプレイし続けている大のFFファンであっても知ったこっちゃない、他の人との待遇は変わらんぞ。勿論、FF8を100時間、200時間、或いは1000時間プレイしている様なプレイヤーであっても、その労苦が報われる事なんて一切無いんだ。無情にもグレード7のコチョコボがその画面に表示されるだけなんだ。

グレードの違いによって受ける差別は色々あるけど、中でも大きいのはやっぱりサボテンダーが発見してくるアイテムランクの違いだろうね。HP量の違いなんてのは実はそう問題でもない。最大で41なのが最低で31ってのはまあ確かに大きな差ではあるけれども、実際にグレード7のコチョコボで「おでかけチョコボRPG」を一通りプレイした私が言うんだから間違い無い(泣)
それよりもよっぽどアイテムの方が酷いよ。サボテンダーが拾ってくるアイテムってのはランクがA〜Dの四段階あって、ランクAのアイテムが基本的には希少って事になってるんだけど、そのランクAのアイテムを拾ってくる確率ときたら。グレード1だと堂々の25%だってのに、それがグレード2にもなると早くも5%に急低下。グレード6になっちゃうと1%なんていうふざけた値になっちゃって、遂にグレード7では0%ときたもんだ。
何が酷いって、この「0%」っていう救いの無さね。さっきも言ったけど大体にプレイヤーはIDを選べる立場にないのにだぞ、88%の人間はランクAのアイテムを手に取る事すら許されてないっていうこの現実。世のアイテムコレクター達は泣いたね。

さてだ、そうして日夜、理不尽な仕打ちに枕を濡らす人達の為に、「おでかけチョコボRPG」にはIDの書き換えという救済措置が用意されている。ポケステの光通信機能を用いて他者と通信対戦をし、それに勝利すれば、相手のIDで自分のIDを上書き出来るという方法がそれだ。
でも、正直言ってこの方法ってあんまり有効じゃないんじゃないのか。幾らFFが人気のあるゲームで、売り上げ本数が300万本超だと言っても、それは日本全国の人口と比較すると30〜40人に1人という割合でしかない。しかもFF8プレイヤーの全てが「おでかけチョコボRPG」をプレイしているとは限らないんだから、実はまず自分以外の「おでかけチョコボRPG」プレイヤーを見付ける事に一苦労ってな感じだろう。
しかもだ、運良く周りに「おでかけチョコボRPG」プレイヤーがいたとしてもだぞ、貴方が88%の割合で存在する平凡IDの持ち主であった様に、その人も88%の人間だったりするんだよ。悲しいね。でも現実はそんなもんだ。君達の知らない所で、シリアルナンバー下三桁が「211」のポケステを持っている人間に限ってアンチFFだったりする現実が横行しているんだ。もう救いなんてない。

こうして話してると思い出すよ。「おでかけチョコボRPG」をプレイする為にポケステを買った日の事を。
何の根拠も無いのに思ってたね。「もしかしたら下三桁が『211』だったりして」なんて事をだ。変に夢見がちな所があったからね。
そんな、今思えばありもしない希望を胸に、自宅へ帰って早速確かめたシリアルナンバーの下三桁が「160」だった事の虚しさと言ったら。実際に「おでかけチョコボRPG」をプレイしてみた時、初期状態のコチョコボのHPが6だった事の悲しさと言ったら、もう。

かつて夢にまで見た、ID「211」 今はもう叶わないんだろうね。
現実的に叶えられる術があった所で、今や別段叶えたいとも思わないけれども。


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