第8回 あんた誰
前回FF5の「よびだす」というアビリティについてくどくどと述べたので、それに関連して今回はこんな愚痴をこぼしてみようと思う。
「ランダム召喚」という技がある。セッツァーが「スロット」を使用した際、「BAR」の目を三つ揃えると発動する技である。この技の効果とはこうだ。「全ての幻獣の中からランダムで一体を消費MP0で召喚する」
このアビリティが使えないのだ。「ランダム」じゃあダメじゃないかと、そう言いたくなってしまうのだ。セッツァーがパーティー入りする頃なんてのはもうゲームも終盤に近い頃…って訳じゃ全然ないけど、それはともかくこんなにギャンブル性の高いアビリティなんて使っていられないってのが本音じゃないか。「つーか『スロット』自体そもそもギャンブルなんだから、それによって発動する技がギャンブル主体なのは当然とも言える事じゃないか」なーんて突っ込みが聞こえる気はしないでもないがそんな声はきっぱり無視して話を進めるぞ。
幻獣もピンからキリまで合計27種類もあって、中には「バハムート」みたいにどんな敵にも有効な万能幻獣もいるにはいるけど、片や「ユニコーン」もしくは「ゾーナ・シーカー」或いは「ファントム」みたいな、ここぞと言う時に呼び出してこそ意味があるのにランダムで出て来てくれちゃってもしょうがないだろと言いたくなる様な奴等もいたりする訳だ。つーか言ってしまえば「ユニコーン」だの「ゾーナ・シーカー」だのに限らなくとも、ゲーム終盤ともなれば「イフリート」とか「ラムウ」とかいう攻撃系幻獣の面々も殆ど役に立つとは言い難くなってくるんじゃないのか。そうなるとそれもう言わずもがなのハズレ満載くじって事になるんじゃない。そんな技好き好んで使うのってあれでしょ、手元に入ったお金というお金を全部ギャンブルにつぎ込んじゃう様な、何だったら当たる事よりも「当たるかどうかドキドキしてる時が一番楽しいんだ」的な事を言っちゃう様な、つまりはもう人生からギャンブルというものを切り離して考えられない様な人くらいなもんでしょ。普通なら使ってらんないよ。
大体にしてFF6では幻獣を召喚する事自体そんなになく、人によっては本気で「幻獣を召喚出来る」という事を忘れてしまっていたりするんだけど、そんな中でこの「ランダム召喚」なんてものを本気で戦略に組み込む人が果たしていたもんかねー。それだったらもっと有用なアビリティがあるだろうって、私は言いたいね。「ランダム召喚」狙うくらいなら「ダイビング・ボム」狙いなさいよと。それ以前に「スロット」使うくらいなら「ぜになげ」使いなさいよと。言いたくなるんだね。そう言っといて私は「ぜになげ」なんて絶対に使わないけど。そんな、目の前のモンスター倒す為だけにこの命よりも大事なギルをわざわざ手放してられるもんかい。
さてさて、やっぱり今回も実際に「ランダム召喚」を使って幻獣を召喚する時の事を考えてみようか。状況はまあ何でもいいけど例えばもうMPもなくて、「アスピル」使えばいいのに使わず、「エリクサー」使えばいいのに使わず、だったらせめて「エーテル」使えばいいのにそれすら頑として使わず、全滅の危険性すらあるってのにわざわざギャンブルに手を出してしまうダメ人間のとあるプレイヤーが、苦肉の策として「スロット」を使用、「ランダム召喚」を発動させたとする。
「『バハムート』が出て来れば…『バハムート』さえ来てくれれば…!!」
何処かで聞いた様な懇願の声だけれどもまあそれはいいとして、どうだ、狙った幻獣が召喚される確率実に4%未満、そんな上手い話がギャンブル漬けのダメ人間に舞い込む筈はないぞ。現れちゃうだろうねえ、「ラグナロック」が。「ラグナロック」ってのは敵単体をアイテム化する技を使う訳だから、それさえ上手くいけば実は事実上の即死技を使う奴なんだけど、でも思い出してほしい、何故彼は今、数ある選択肢の中からわざわざ「スロット」等というものを使ってしまったのか。それは今まさにピンチに陥っているからだっただろう。そんな状況に追い込む様な奴を相手にして、「ラグナロック」がその効果を発揮してくれる筈ないって。
何だよ、「○○になるがいい!」なんて勇ましく言っちゃってくれちゃって、それで去っていくだけか。だったらせめてその剣で一太刀あびせてから帰ってくれよ。さもないといつかナルシェの武器屋の人に会った時に、お前の魔石なんてぶっ壊して「ラグナロク」にしちゃうぞ、この野郎。
さて或いはだ、やはり打つ手がないって時に、最後の手段として「スロット」を回し、「ランダム召喚」を発動させたとする。
「運良く『オーディン』が来れば『ざんてつけん』で一網打尽だ…!!」
もううるさいよ。どうせ出て来てくんないよ。つーかこんな場で「一網打尽」なんて不吉な単語を口にするもんじゃありません。あ、ほら見ろ、「ジハード」の奴が呼んでもないのに出て来ちゃったじゃんか。あいつら手加減ってもんを知らないから用意もなしに呼び出しちゃダメなんだって。つーか今何してた所か知らない訳じゃないだろ? 新しい装備品買う為の金を貯めてたの! ほーら、あー、折角の25000ギルが水の泡じゃねーかよー。だから正直な事言うとあいつら好きじゃないんだよなー…う、う、う…
…とまあ、全くこれと同じとまでは言わないけど、でも遠からずな事態に陥っちゃう事はもう明白な事じゃないか。
でだ、「よびだす」程じゃあないにしろ、やっぱり「消費MP0」っていうのはそんなに素晴らしいもんじゃない。どうしても、誰に何と言われても、親の遺言か何かで「消費MP0」にこだわる必要があるんならFF6にだって「ものまね」はあるし。FF5みたいに全員が乱発するなんて事は出来ないにしろ。ともかくそういう状況にあって、もう「ランダム召喚」という技にわざわざ使ってみるだけの価値はないというもんだ。
あれじゃないかな? このアビリティはもしかしたら、ごく普通のプレイに飽きたプレイヤーが「『ランダム召喚』オンリープレイ」なんていう常軌を逸した暴走行為の為に存在しているアビリティなんじゃないのかな?
…って、「BAR」揃えられる確率って1/2なんだから、そりゃ無理だろ。