「きっかけのスフィア」の謎と言えば真っ先に浮かぶのは、スフィアに写っていた「ティーダ似の男」の言動、或いは男そのものといった所だが、実際にはそこだけに留まるものではない。
果てにFF10-2という、FFシリーズでは初のシナリオが繋がっている続編を生み出す切っ掛け、始点として存在する事で恐らく多くの人々の印象に深く残ったであろうだけに、この謎を疑問として抱いていた人もまた、多かったのではないだろうか。

まず一つに、「永遠のナギ節」にて問題のスフィアをリュックが取り出した時のワッカの一言が妙だ。この時彼は「きっかけのスフィア」を目にしてこう言っている。

ワッカ:珍しいカタチだなあ

「永遠のナギ節」を見た当時は、このセリフに疑問を感じる事等無かった。当然だ。ただ形が珍しいだけのスフィアに如何なる疑問点を見出せようか。しかし、それからしばらく経ち、FF10-2が発売された正にその日、このワッカの発言はたちまちにして大きな矛盾を含んだ響きをたたえる事となる。
FF10-2では、飛空挺セルシウス内にいるシンラ君に話しかけると、「お宝スフィアコレクション」として、これまでに収集したスフィアの映像をいつでも見られる様になっていて、「きっかけのスフィア」もその例に漏れず、いつでも閲覧が可能となっている。そしてその際、選択したスフィアを閲覧するかどうか選択する時に、実際にそのスフィアの外見がグラフィックで表示される。そこで、「きっかけのスフィア」を選択し、そのグラフィックを表示させてみよう。すると表示されるのは、紛れも無い球状のスフィアなのだ。一目瞭然である。
どう見てもその形は他のスフィアと変わりがない。万一差があったとしても、一目見て判別出来る程のものではないだろう。また、ルブラン一味関係のスフィアが他と比べて巨大で、シンボルマークらしきものも見て取れ、尚且つピンク色であったりする事や、「合体したスフィア」に、二つのスフィアの繋ぎ目が確認出来る事から、スフィアを閲覧するかどうかの選択時に表示されるグラフィックが、正にその時選択しているスフィアのものであるという事も明白である。
では、何故ワッカはあの時「珍しいカタチ」と、さも珍しそうに述べたのか。これが一つ。

謎はもう一点ある。これもまた「永遠のナギ節」を見た時点では疑問視し得ず、FF10-2が世に出ると共に浮上したものだ。これについては、「永遠のナギ節」とFF10-2、双方で「きっかけのスフィア」の映像を見た人の多くが感じただろう。両者の映像が多少違って感じられるのだ。
映像が若干クリアになっている。カメラアングルに関しては明らかに違う。音もやや違って聞こえる。特に「あいつに……会わせてくれ」の件は全くの別物だと言っていい。
この映像の違いはどうして発生したのか? これがもう一つとなる。

この謎を考えるに当たり、まず私はスフィアの「形状」に目を付けてみた。
まず、ワッカが明らかに普通の球状をしている「きっかけのスフィア」を見て「珍しいカタチだなあ」と発言したとは流石に考え難い事から、「きっかけのスフィア」は「永遠のナギ節」時点では確かに特異な形状をしていたが、FF10-2時点では何らかの理由で普通の形状になっていた、という風に考えるのが妥当だと思われる。
では、何故「きっかけのスフィア」は特異な形状をしていたのか? 一つに、結果として「きっかけのスフィア」はおよそ1000年前の物であった訳なので、1000年前のスフィアと現在主流の球状スフィアとは形が違っていたという考え方があるかもしれないが、「きっかけのスフィア」同様およそ1000年前のものである「ガガゼトのスフィア」や「牢獄のスフィア」が普通に球状だった事を考えるとこれは正しくない。特に「牢獄のスフィア」について言えば撮影場所や撮影者も似通っている為、「きっかけのスフィア」も球状こそがあるべき姿だったと考えていいだろう。
そうなると浮上するのは、何故、元々は球状だった筈の「きっかけのスフィア」が、一目見た時に「珍しいカタチだ」という感想を持たれる程に変形してしまったのか、という点だ。
ここで私はこう考えた。そもそも「永遠のナギ節」で見る「きっかけのスフィア」の映像は多々ノイズが入っていて、極めて不鮮明である。これは撮影から1000年もの時が経ってしまっている事によるという考え方もあるかもしれないが、先に触れた「ガガゼトのスフィア」や「牢獄のスフィア」では、それ程のノイズを認められない事から、そうとは考え難い。となると、これは何らかの外的要因によって変形し、それにより不鮮明さが増してしまったのではないだろうか。それはあたかもビデオテープのテープ部分に傷が付いているかの如く、相応の力が外部からかかった事で変形、それにより画質、音質が格段に落ちたという事だったのではないだろうか。
だとすれば、FF10-2時にその形状が元の球状へと戻っていた事も分からないではない。何者かがスフィアを元の球状へと修復したのだ。一体誰が? それは勿論、スフィアの管理者であり、カモメ団一の技術者シンラ君である。また、そうだとすれば、FF10-2で見る「きっかけのスフィア」の映像が「永遠のナギ節」でのそれに比べて見方も聞こえ方も違っていた事に納得がいくだろう。シンラ君が手を施した事により、スフィアが映し出す映像は本来の姿に近付いたという訳だ。
ちなみにカメラアングルの相違については、「アンダーベベルの記録2」を見る際に特定の箇所をズームアップ出来ている事から、ある程度簡単に変更が利くものの様だ。

服の袂から落ちた位ではビクともしないスフィアを完全に修復するのは考えるに大変そうだが、シンラ君に言わせれば「ふふん」と言った所だったのだろうか。


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