召喚士の旅も終盤となり、聖地ザナルカンド遺跡をいよいよ臨まんとする段となると、そこに最後の難関として「ガガゼトの試練」が立ちはだかる。ここにおいて、とある二つの試練を乗り越えてこそ初めて一行は聖地に足を踏み入れられるのだ。
実際にゲーム中で「ガガゼトの試練」を経験した事があれば分かるが、この二つの試練を乗り越える為には、道中どうしても泳いでいかなければならない地点が存在する。これに関しユウナ達一行は、ティーダ、ワッカ、リュックという、長時間にわたって泳げる人員が備わっていた為に全くもって問題はなかったが、勿論全く泳げない人間だけで構成された召喚士一行がやって来ないとは限らないだろう。特にこの試練はあくまでも「ガガゼトの試練」なのであって、別段召喚士一行に対して特別に与えられた試練だという訳ではなく、それ故訪れた召喚士に対応して都合良くその内容が変化してくれる様な親切な作りにはなっていない様なのである。
ゲーム中で、この試練を突破したと考えられ、かつパーティーが何人編成であるかといった詳細かつ確実な情報が確認可能なパーティーは三組存在する。まずはブラスカ、ジェクト、アーロン一行。次に、召喚士の旅を辞めなかった場合のドナ、バルテロ一行。そして、シーモアに究極召喚獣を与える事を目的としてザナルカンドへ向かったシーモア親子の事も忘れてはならない。
果たして、これら三組のパーティーは如何にして「ガガゼトの試練」を突破し、ザナルカンドへ辿り着けたのだろうか。
まず先に挙げられた三パーティーの内、ドナ一行に関してはあまり理解に苦しむべくもない。
それと言うのも、ユウナ一行通過後の登山洞窟の様子を見ると分かる事だが、ユウナ達によって試練が攻略された後は、ゲームクリアまでを通して常に攻略されたままの状態が保たれているのだ。それを考えるとドナとバルテロは、ユウナ達が突破した状態のままになっていた登山洞窟を何の苦労もしないまま通過したものと思われる。ついでに言うと、彼女達がこの地を通過した時には既にユウナレスカがいなくなっている事から、本来なら試練の一環として遭遇する筈だった二体のガーディアンとも出くわす事はなかった様だ。
また、何故試練が攻略されたままになっているのかについてだが、それはあの場所がロンゾ族にとって神聖な場所である事からこう考えられる。普通ならば、召喚士を通し、そして究極召喚を得た後に下山した所で、固い封印の意味を込めて、登山洞窟を試練攻略前の状態に戻していたのだろう。しかし、ユウナ達が通過した際にはシーモアの手によって一族の多くが命を落としてしまった為、それどころではなかったのではないだろうか。
それとは別にFF10-2においても同様に洞窟を放置しているのが見受けられるが、これについては同地の水が完全に引いてしまった事で、それまでの様にブリッツボールの練習が出来なくなってしまった為に頻繁に利用しなくなった事、加えてザナルカンド遺跡への観光客が頻繁に通行する事もあっての事の様だ。
さて話は戻るが、ドナ達を除く他の二組に関しては上記の理由は通用しない。
第一の試練についてはまだどうにかなるかもしれない。ここで奮闘するのは高々一人で十分であり、それに関してブラスカ一行にはブリッツの天才ジェクトがいる。シーモア親子についても、そのどちらかだけでも泳げたのなら試練突破の可能性が開けるのだからあまり問題にはならないだろうと思われる。無論、シーモア親子がもしも両方泳げなかったとすれば、という仮定を立てて考察する事も出来るのだが、それらは些細なものとして、ことごとく次の謎に吸収されてしまう事となる。
そう、本当に問題なのは第二の試練だ。この試練の内容は三つある穴のそれぞれ奥にあるスイッチを一つずつ押す、という極めて単純なものなのだが、単に順番に押せばいい訳ではなく、三つのスイッチが同時に押されている状況を作り出さなければならない。即ち、先の第一の試練での必要人員が一人だったのに対し、こちらは最低三人の、しかも泳げる人間がいなくてはいけないのだ。
ブラスカ一行とシーモア親子、この二組が首尾良く第一の試練を突破出来たものとしよう。しかしこの二組は、この第二の試練の前に旅の続行を諦めざるを得なくなってしまう。
まずブラスカ一行について。泳ぎに長けるジェクトを筆頭として必要人員の面において数的にはギリギリで間に合っている彼等だが、残念ながらアーロンが泳げない。万が一十年前の時点ではアーロンも長時間泳げていたと仮定しても、メンバーの中の誰か一人はリュック並の体系でなければ、最も小さなサイズの穴の奥にあるスイッチを押す事が叶わない為に、やはりこの試練を突破出来たとは考えられない。
シーモア親子については、そもそも人数が足りていない事から論外と言えよう。
ここに「ブラスカ一行とシーモア親子は『ガガゼトの試練』を突破出来なかった」事が示された。だとすれば、彼等はどうしてザナルカンドへ到達出来たのか。もしかしたら、ロンゾ族がこの疑問を解決する際に重要となってくるのではないだろうか。
ロンゾ達の召喚士に対する尊敬の念が並のものではないという事は、ゲーム中におけるユウナへの対応から見て取れる。たった一人の召喚士が願う旅の完遂を叶える為にと、老師という立場のシーモアに立ち向かう程なのだから、その想いは容易に感じ取れる。
だとすれば、その召喚士一行が普く手段を講じても登山洞窟を抜け切れないとなった時、ロンゾ達はどうするか。恐らくそんな場合は、ロンゾ族の中の誰かが、試練突破人員として同行するなりの措置を取るのだろう。
いや、それ以前に、ユウナ達の時には寺院からの追っ手が迫っていた特殊な状況だったので確認出来なかったものの、本来召喚士一行通過の際には一族をあげて全力で彼等を援護しながら登頂を目指すのかもしれない。
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