今回テーマとして掲げるのは「召喚士の旅」、ことFF10にて語られるユウナの旅に存在する謎に重点を置いている。
そこでまず真っ先に浮上する謎、それは「何故彼女達はザナルカンドへ到達出来たのか」である。突拍子も無いが、これが謎として浮かび上がるのはもはや自然と言わざるを得ない。
何故か。例えば、『シン』を倒した人物≒究極召喚を獲得した召喚士だとしよう。ユウナレスカをそれに含めれば、実にこの1000年の間、それに該当する人物は、ユウナレスカ、ガンドフ、オハランド、ヨンクン、ブラスカ、この五人しかいない。もしかしたら、究極召喚を獲得したにも拘らず『シン』を倒さなかった者がいると考えられるかもしれないが、自分の為に、そしてスピラの人々の為に自らの命を糧に祈り子になったガードが存在する事を考えれば、それを加味したところで、ザナルカンドへ辿り着けた召喚士一行が五組を大幅に上回る事はないだろうと思われる。
つまり、スピラ各地の寺院を巡り、かつザナルカンドに到達するというのは、おおよそ百年に一度現れるか現れないかと言える位の、難題の極まりなのである。
だが、実際にその旅路を経験した貴方はどう感じただろうか。当然千差万別の意見が出るだろう。しかし、「百年に一度」という言葉に匹敵する程に苦労した人はいない筈。もし実際にそうであれば、FF10という物語が、最長で百年もの期間をかけて挑戦し続けなければ到底クリアするに至らないものになってしまう。
しかし、当然ながらそんな筈はない。それどころか、大抵の人は楽々か、渋々か、意気揚揚なのか苦渋辛酸を舐めながらなのかは別にしても、ザナルカンドに辿り着いている。
では何故ユウナ達は「百年に一度」の旅路を、その言葉がイメージさせる程の苦労をしないままに成功出来得たのだろうか。
更にこの謎に拍車をかける事実が存在する。先に述べた通り「百年に一度」とは比べ物にならない程低難度なユウナ達の旅の道中には、難関として降りかかって来るものがいる。それこそ「ボス」と呼ばれる者達だ。しかしこのボス達についてよく考えてみて欲しい。ゲーム中で戦う事になるボスは、その殆どが召喚士の旅そのものには関わってこないのである。即ち、本来の召喚士の旅とは、FF10というゲームにあったものよりも遥かに登場するボスが少ないと考えられ、それ故に一見すると遥かに全滅する可能性が少ないものであると考えられる気がしないではない。
そこで以下に、ゲーム中で必ず戦わなければならないボスを挙げ、改めて召喚士の旅に関係してくるものなのかを吟味してみよう。
・ジオスゲイノ(1回目)
・トロス
夢のザナルカンドから辿り着いた先が海の遺跡(バージ=エボン寺院)だった事が原因。召喚士の旅とは一点も接点が無い。
・????(キマリ)
ユウナ一行に同行(この時点ではルカまでの予定)する事になったティーダが、足手まといにならないかどうかを見極める為の戦いだったので、召喚士の旅の一部にはなり得ない。
・『シン』(背ビレ)
・『シンのコケラ:エキュウ』
背ビレという事は海上での戦闘が前提である。スピラを巡る際に船に乗る機会は四度(ビサイド島やキーリカ島からスタートする場合はそれぞれ二度、三度)しかない上、『シン』に頻繁に出くわす訳ではない。
事実船上では監視こそ行なっているが、常に殺伐とした雰囲気が漂ってはいないので除かれる。
・『シンのコケラ:グノウ』
『シン』がキーリカを襲った際に残していった『コケラ』なので除外。
・アルべドシューター
ルカで、アルベド族に「保護」されたユウナを救出する際に戦うブリッツ練習用機械だが、アルベドの召喚士保護活動は最近になって多発しているものなので、これも全く関係してこない。
・チョコボイーター
これが初めて予定通り戦ったボスとなるのだろうか。
スピラの為に旅をしている召喚士が、ティーダやジェクトの様にわざわざ退治に名乗り出る可能性はある。ただし討伐隊、僧兵の警備も存在する上、ゲーム中で一度しか戦えない、即ち個体が多数いる訳ではない。故にこれも除かれると考えた方が無難か。
・『シンのコケラ:ギイ』
・あたま
・うで
ミヘン・セッション自体が特殊極まりなく、その上討伐隊の管理に問題があった結果生まれた魔物なので論外。
・アルベドキャプチャー
これも召喚士保護作戦の一環。よって除外。
・スフィアマナージュ
アーロンがティーダに「ジェクトのスフィア」を見せる為に立ち寄ったスフィアの泉に登場。本来は立ち寄る場所ではない。
・アルベドガンナー
・アルベドシーラー
召喚士保護作戦最終章。よって除外。
・シーモア
・アニマ
・ウェンディゴ
・エフレイエ
・エフレイエ=オルタナ
・シーモア:異体
・幻光異体
これらは全てシーモアの野望が影響してのもの。これを始めシーモアに関係するバトルは全て彼の野望の為に発生したものなので、旅の一環にはなり得ない。
・ビラン=ロンゾ
・エンケ=ロンゾ
本人も言う通り、これはキマリの問題。
・シーモア:終異体
・幻光祈機
前述の通り除外。
・聖地のガーディアン
・魔天のガーディアン
アーロンが言っていた通り、これはユウナレスカが召喚士の力量を試すべく放った魔物である為、道中で確実に戦う事になる。
・ユウナレスカ(第1形態〜第3形態)
・『シンのひだりうで』
・『シンのみぎうで』
・『シン』(コア)
・『シン』(頭部)
・シーモア:最終異体
・ブラスカの究極召喚(第1形態〜第2形態)
・ジュ=パゴダ
・(エボン=ジュが乗り移った)各種召喚獣
・エボン=ジュ
これらは教えを核とする召喚士の旅を大きく逸脱したものなので全て除外される。
最早一目瞭然だろう、旅の中で確実に戦う事になるのは聖地のガーディアンと魔天のガーディアン、この二体のみである。となれば、実際の召喚士の旅というのは、ユウナ達の歩んだそれよりも更に難度的に低いという事だろうか?
だとすれば、それだけ低難度なのにも拘らず「百年に一度」しか旅の成功者がいなかった今までの1000年がおかしかったのか、それとも一層難易度が増している筈なのに比較的安易に旅を成功させたユウナ一行が変だったのか、という謎が浮上する事になる。
しかし、実は単にそうと言い切る事は出来ない。道中ボスが二体しかいなかったからと言って、ユウナ達以外の召喚士の旅路が簡単だったとは必ずしも言えないのだ。具体的にはその全く逆、つまりこれまでの1000年間こそ難関だったのであり、ユウナ一行の旅の方が難度的に簡単だったと私は考えている。
過去の旅路を高難度にし、同時にユウナ達の旅の時点では低難度にしている要因の一つに、行く手を何度となく阻むであろう魔物の存在がある。何故魔物が旅の難易を大きく左右してくるのか、この謎を解く一つのカギが、アーロンのセリフに隠されていた。
「昔より魔物が増えたな」
「そ、そうなんですか?」
これは、ユウナがジョゼ寺院でイクシオンを入手後、グアドサラム到着までの間のバトル開始時に、条件を満たすと聞けるアーロンとワッカのやりとりである。ここでの「昔」とは、恐らくは十年前自身がその地を踏んだ時という事だろう。
ここで重要になるのは「何故魔物が増えたか」ではない。ただ単純に「今は魔物が多い」という事だ。
魔物が増えている、という事はより旅路が厳しくなるのでは? 一見するとそう思うかもしれない。だが、それは逆である。どの程度増加したのかは確認出来ないが、例えば、実際のプレイにおいて起こるバトル量が、半分になったと考えると分かり易いだろうか。
バトル量が半分になるという事は、各人の成長量も半減するという事である。成長量が半減するとすれば、旅が終わりに近付くに連れ、日に日にバトルが厳しくなっていくと考えられるだろう。一部にはちょっと判断を誤っただけで全滅を免れなくなってしまう凶悪な面々もいるこのスピラ。加えて成長量が、制限こそかからないが、少なくとも抑制されてしまう事は、過去の召喚士の旅が過酷であった事を物語る。同時に、実はユウナ達は増加した魔物によって、ほぼ直接的に恩恵を授かっていたと考える事が出来るのではないだろうか。
また同様の意味で、先に上げた予定外のボス達も間違い無くユウナ達の成長の肥やしになってくれていたのだ。その他、ビーカネル島を始めとした、旅とは全く関わってこない筈だった「寄り道」的な部分も同義と言える。
この3つの原因によって、過去のそれとはあまりにもバトル数に違いの出たユウナ一行の旅路。この幾度ものバトルが、着実に彼女等のバトルに対する実力を高めていった事が、低難度化の一つの要因であろう。
二つ目に考えられる事は、魔物情報の有無だ。ユウナ達は道中、スフィアモニタの「魔物情報」により、注意すべき魔物の詳細な情報を得られるだけでなく、その魔物を相手にした実践訓練を行なう事が出来る。
ルカにいる討伐隊員の話によれば、これら魔物の情報を集める事も、討伐隊の重要な任務らしい。だが、脅威である以上、全ての魔物に関しての情報を網羅する事が望ましいと思われる中で、実際にそこにある情報は一部のものだけである。一応その界隈に存在する魔物の内、危険なものの情報は集められているものの、まだ完璧にはほど遠い。つまりこれは、魔物の情報収集活動を始めてから、まだそれ程時間が経っていないという事ではないだろうか。
そういう事であれば、昔は魔物に関する情報が乏しかった事になる。特に、それ以北は街が無い事から人の往来が少なく、今まで以上に魔物の情報が無くなっていき、尚且つより一層強力な魔物が現れるナギ平原以降は当時の召喚士一行にとっては、ユウナ達とは比較にならない苦節を強いた場所だった事だろう。
そして三つ目の要因。恐らくは最も大きい理由だと思われるそれは、ガードの人数である。
キーリカ寺院において、初めてドナと出会った時、彼女はユウナに対し、ガードをぞろぞろ連れている事を、自身の持つ「召喚士のあり方」の信念に基づいて批判した。
キーリカ寺院の時点で、ユウナのガードはワッカ、ルールー、キマリの三人だが、普通にバトルにも参加しているティーダは、この時点でガード同等と見ていいだろう。
召喚士に四人のガード、これはやはり通常のそれと比べると多い様である。別にガードの人数に制約があったり、これがガードのベスト人数だと言えるものがある訳では無いのだが。
そもそも召喚士とガードという関係は、確固たる絆の力によって成り立っていると言える。それは、ドナとバルテロにとっては恋人としての絆。イサール、マローダ、パッセの三人にとっては、兄弟愛という絆。ブラスカ、アーロン、ジェクトの三人には友情という絆があった。が、固い絆だけあれば召喚士とガードの関係が築けるのか、と言うとそれは別である。何故なら、召喚士の旅の果てには、必ず訪れる別れが存在するからだ。ユウナに限らず、召喚士の周りには、ドナにも、イサールにも、ブラスカにも多数の「絆」を共有する人々がいたであろう。だが、それらの殆どは「絆」で結ばれているからこそ、旅立ちを受け入れられないのだ。実際、ワッカとルールーは、ユウナが召喚士になる事を断固として反対した。二人は、ユウナの旅立ちを阻止する為、自ら他の召喚士と共にガードとして旅に出た程だ。マローダも、旅の終わりに兄が死ぬ事について「時間があれば(誰も死なない方法を)考えるさ」と言っている。バ
ルテロも、その事に触れる事は無いが、最愛の人の死に、当然思うところはあっただろう。
この「召喚士の死」を最も分かり易く表現しているのが、アルベド族の言う「イケニエ」である。スピラのほぼ誰もが、その旅立ちを憂い、訪れたナギ節に喜び祝福する。より自分から遠い関係にある人物がもたらしたナギ節であればある程だ。だが、一度「遺される者」の立場になるとどうか。両者の間にどれだけ固い絆が存在していても、いや、それが強ければ強い程「遺される者」達の思想は転じて「アルベド的」になる。それまで盲目的に信じていた教えに疑問を唱え、短い平穏の後に結局復活してしまう『シン』に自分の命を捨ててまで挑む意味等あるのか、と自身に、そして相手にぶつけるのだ。
つまり、強い「絆」がある上で、別れを「覚悟」している召喚士とガードというのは、元々特異な関係なのである。そのガードが四人、更にアーロンとリュックが加わって六人になる事を改めて考えると、やはりこれは相当多いと言えそうだ。
ただ、ここまで「絆」の話をしてたのにも拘らず、重要なのはその部分ではない。だからと言って単純に多勢に無勢だから問題無かった訳でもない。大事なのは、これ以上無い「バランスの良さ」なのである。
この「バランスの良さ」の話をする前に、まずスフィア盤について語っておかなければならない。
ゲームをプレイした人の九割九分九厘が常用してたと思われるスフィア盤。まずこのスフィア盤は、スピラに生きる者全てに、同一の物が存在していると思われる事を述べよう。
それは何故かというと、まずユウナ達を見れば、スフィア盤が少なくとも一つのパーティーに一つ存在している事は確認出来る。これは、先の「絆」が存在しているからこそ、共通のスフィア盤を共有出来ているのではないか、と考える事も出来る。
しかし、例えばスピラに来たばかりのティーダとユウナは全くの別人であり、「絆」の存在等お世辞にも口に出来ない。また、幻光河北岸で出会うまでのリュックとワッカ、ルールー、キマリ、アーロンにおいても同様の事が言える。リュックとユウナは、一応親族ではあるものの「絆」の介在には到底至らないであろう。
この彼らが、「絆」を持ち始める前から同一のスフィア盤を利用していた事は、スピラの全ての人々が、果てはティーダ、アーロンの様な幻光体にまで公平に存在する事を意味している。
ただし、彼らの持つ「絆」がスフィア盤に全く影響を及ぼしていない訳でもない。
話は脱線するが、例えばティーダがある場所のスフィアロックを解除したとしよう。すると、他の人はそれ以降その箇所を普通に通過出来る様になるが、もしこれを「それが誰であるかに拘らず、解除されたスフィアロックは、以降他の誰でも通過出来る」と仮定すると、少々不自然な程にスフィアロックが残っている事にはならないだろうか。昔は魔物が少なかったので、わざわざ必要無い脇道に逸れる程S.Lvに余裕が無かった、と考える事も出来るのだが、過去誰も脇道に逸れなかったのだろうか、と思うとやはり矛盾している様に感じる。
Lv.1キースフィアは、ブリッツボールのリーグ戦一位の商品にもなっているので、それ程貴重品な訳でもないだろうし、今まで幾つものそれがチームの手に渡っている事だろう。またLv.1キースフィアは、召喚獣が覚えるアビリティも無ければ改造にも使えない。つまり、スフィアロックを解除する以外の用途を持たないのである。
他にも、ビラン=ロンゾとエンケ=ロンゾの存在もこれについての謎を深める。二人からはLv.3キースフィアが「盗める」からだ。
この「盗める」という行為はFF10においてかなりの曲者である。何故ならば、「盗む」に成功する確率が、一度目の100%を始めとして、一回成功する毎に50%、25%、12.5%…と半分ずつになっていくのである。これが意味するものは何か。つまりこれは、盗み手の根気さえあれば、延々とそれを盗む続ける事が可能だ、という事を言っているのだ。
Lv.3キースフィアをガガゼト山以南で入手する事は困難を極めるのだが、彼等は相当量のそれを所持しているのである。更に彼等の力量を見れば、およそスフィア盤の恩恵を受けているだろう強さを誇る。つまり、強くなっていく中で、Lv.3キースフィアを全く使用しなかった事の方が矛盾な訳だ。ちなみにLv.3キースフィアもスフィアロック解除以外の使用方法は存在しない。
以上の点より「それが誰であるかに拘らず、解除されたスフィアロックは、以降他の誰でも通過出来る」との仮定は正しくないと考えるのが妥当という事になる。
では何故パーティー内ではそれが可能なのか、その謎のポイントになるのが「絆」な訳だ。
前述した召喚士とガードの、普通では考えられない、という意味で異常なその関係は、元より不思議な存在である幻光虫や幻光体に何らかの影響を与える様なのである。
その「影響」の最たるものが、ずばり究極召喚だろう。いくらその召喚獣が強くとも「絆」の存在無くして「究極召喚」にはなり得ない事は、シーモアにとっての究極召喚獣であったアニマをユウナが召喚しても、それはイフリートやシヴァと同等の召喚獣に過ぎないという事から明らか。限り無く強い「絆」があってこそ召喚獣は究極召喚獣たり得るのだ。あくまでも重要なファクターは「絆」なのだ。
そのあたりはゲーム本編とは別の形で既に語られている為、ここでは省略するが、強い「絆」が幻光体に、つまりは幻光虫に、ひいてはスフィアに不思議な影響を与えている事は確かであり、それ故「絆」で結ばれたパーティー間では、スフィアロックの解除を共有する事が出来るのであろう。
さて、本題に戻る。スピラの人間には例外無くあのスフィア盤が存在する事が分かったが、どうやらスフィア盤には、幾つかのタイプがあるらしい事に触れよう。
ゲーム中の七人のキャラクターは、それぞれスフィア盤のスタート位置が異なっている。スフィア盤は主に、Lv.3のスフィアロックによって七つのエリアに区分されるが、七人それぞれのスタート位置を見た時、キマリを除く六人に関してはその全てが他エリアとの境界線近くに位置している事を考えれば、キマリを含めた七人のスタート地点とは、万人共通の各エリアスタート地点であると考えられる。
そこで、各エリアの特徴をそれぞれ「ティーダエリア」、「ユウナエリア」といった感じで一般的に表してみようと思う。
・ティーダエリア
攻撃力とすばやさが伸び易い。ただし他エリアと比べて突出した部分が無いので、初期値が低いと少々他に劣るかもしれない。だが、「とんずら」、「ヘイスト」、「ヘイスガ」といったアビリティは、予期せぬ強敵に遭遇した時の強力な対処法となってくれる。得意タイプはオオカミ系とトカゲ系。
・ユウナエリア
HPは伸び辛いが、それを補って余りある数多くの白魔法アビリティは旅をする上では必須か。更に魔力の値は全エリア中で最も高い上昇量を誇る。攻撃系能力は乏しく、魔物を倒す事はまず無いだろう。完全な補助要員。
・ワッカエリア
HPと命中の伸びは全エリア中トップ。攻撃力も、各所のスフィアロックを解除していけば実はアーロンエリアよりも上昇量が高くなる。更に敵にステータス異常を起こすアビリティが豊富にあり、MPが不足した際にも「アスピル」で吸収出来るのは大きな利点である。
魔力、すばやさもそこそこ伸びるので、魔法を使えない点を除けばほぼ万能だろうか。他の攻撃タイプの者では苦戦しがちな羽虫系、鳥系、目玉系、小鬼系の魔物等が簡単に倒せるのも大きい。
・ルールーエリア
MPは当然大きく伸びるのだが、その他では、物理防御、魔法防御、回避、といった防御系の能力地の伸びが大きい。そして大半が習得できる黒魔法は、プリン系、エレメンタル系に苦労しない為には絶対に外せない点だろう。ユウナエリアと同じく、攻撃系統の能力には期待出来ないが、そこに不満を感じる事はもはや傲慢か。それを除けば、一つ気になるのはすばやさがあまり伸びない事。
・キマリエリア
エリア自体は非常に狭く、このエリアだけを踏破して得られるものははっきり言って少ない。だが、スフィア盤の中央に位置している為、キースフィアさえあれば、アーロンエリア以外の他エリアに簡単に踏み入る事が出来る。パーティーのバランスを考えて有利に働く箇所へ行けばいい訳だが、当然元からそのエリアにいた者には劣ってしまうので、どうしても二番手になってしまうのが難点。敢えて特色を言うとするなら、「竜剣」でMPを手軽に回復出来る事と、未知の魔物に出会った時にいち早く「ライブラ」で情報を確認出来る事くらいか。
・アーロンエリア
HP、攻撃力、物理防御が大きく伸びる。ただし突出している訳では無いので、初期値次第では平均的な攻撃タイプになる可能性はある。ただし、アーロンタイプの人が使用する武器の殆どは「貫通」のオートアビリティがセットされているので、「改造」を行なえる人物がパーティー内にいない場合、甲羅系、竜系を始めとした「かたい」特性を持つ魔物に対して大きな戦力となる。反して魔法系の能力とすばやさの伸びは悪い。しかし、「パワーブレイク」等のブレイク系アビリティは長期戦になる魔物との戦いでは大いに役に立ってくれる筈だ。
・リュックエリア
すばやさの上昇量は文句無くトップ。ただしその他の能力値は平均的にしか上がらない。このエリアの特徴は、スタート地点付近にHP成長スフィアが5つも配置されている事で、これにより、極めて早い段階でHPが1000を突破する。一応「盗む」が使える事で、小型機械系と大型機械系の機械を瞬時に破壊させられるのだが、一般の旅ではこれらの機械が襲ってくる事はあり得ないのが欠点。反面「使う」は、アイテムの特徴をしっかり把握しておけば強力な攻撃手段になってくれるだろう。
大体こんな感じになるだろうか。
ここで、誰がどのタイプに属するか、という点だが、例えばリュックが「盗む」によって機械を壊す事が出来るのが、機械に深く精通しているリュック、ひいてはアルベド族だけの特殊能力「ではない」事を考えると、どうやら自分の自由に定められるものではなく、遺伝の様な先天的なものが基軸になっている様である。
これに関しては、もしもタイプが先天的に定まると仮定するなら、攻撃に長けている訳でもなければ魔法が使える訳でもなく、それほど戦闘に向いていない「リュックエリア」にその大半が属しているという事になるであろうアルベド族の、他種族から独立し、更に寺院からは弾圧を受け続ける中「機械の力に頼らなかったら生きていく事も困難だった」とする意見が、よりすんなりと理解出来るのではないだろうか。
これらを考慮すると、そもそも「ガードが六人」の時点で、まずあり得ない事象なのに、かつ七人がそれぞれ違うタイプである事は、「バランスの良さ」の極まり、この上無い奇跡だったのだ。
例えばアーロンが「アーロンエリア」でなければ「かたい」魔物に苦戦した事は必至だろうし、ルールーが「ルールーエリア」じゃなかったとすれば、プリンやエレメンタルに対し、いちいち物理攻撃によって倒していかないといけなくなってしまい、その間に魔法をくらってしまう事も度々だっただろう。ユウナが「ユウナエリア」ではなかった場合の苦労は最早言うまでもない。
お分かり頂けただろうか、ユウナ達一行の万能ぶりを。まとめるとユウナ達は、昔に比べて魔物の数が増えていた事で着実に実力を付けていく事が出来た。しかもユウナ達に関しては寄り道が多かったので、ドナ達やイサール達と比べてもバトル数は相当多かった事だろう。そして魔物情報の豊富さ。今現在でも十分な量ではないが、昔と比べればかなり優遇されている事は一目瞭然。そして何よりも、究極の「バランスの良さ」。この三つがうまく重なり合ったからこそ、そして他の召喚士一行にはこれが無かったからこそ、ユウナ達は「百年に一度」の旅を、多くの予期せぬボスに出くわした事を加味しても、これ以上無いであろう程の安易さ、安定さで乗り切る事が出来たのである。
さて、ここで改めてユウナ達以外の召喚士一行の事を考えてみると、かなりの偉業だったと思えてこないだろうか。
例えばブラスカ達を考えてみる。その時アーロンが「アーロンエリア」なのは当然。ジェクトはティーダとの似た者親子ぶりを考えると「ティーダエリア」か。ブラスカは、その妻がアルベド族=「リュックエリア」と考えられるので、ユウナが「ユウナエリア」だという事は彼もそうであると考えるのが妥当だろう。
つまり、ティーダとユウナとアーロンの三人の旅だと考えるとシミュレーションできる。まず苦労させられるのは「ワッカエリア」担当の飛んでいる魔物だろう。わざわざ相手にしていたのかは分からないが、魔物が少ないので、大事なAP収入源である。倒さなかったとしても苦労を強いられた事は明白だ。プリン系、エレメンタル系を相手にした時は、奴等の魔法を喰らってしまう事も度々だっただろう。ブラスカが使えたであろう白魔法の事を加味してもかなりの苦労があっただろうと推測される。
また、もっと凄いのが、ドナ一行とイサール一行である。ドナ達は二人、イサール達は三人だが、パッセは戦力としての活躍はしていない様である為、事実上二人となる。とは言え、イサール達はナギ平原以北を旅していないのでここでは除外するとしても、やはり圧巻なのはドナとバルテロであろう。
彼女達はゲーム中でのとある選択肢にどう答えるかによって召喚士の旅を途中で辞める場合があるのだが、一方で無事にザナルカンドまで到達する場合もあるのだ。
その場合、二人での旅路は相当辛いものがあったと思われるのだがどうだったのだろうか。バルテロは、その肉体を見れば「ワッカエリア」か「アーロンエリア」だと推測できる。ドナは如何とも言い難いが、例えどのエリアに属していたとしても、かなりの苦労は必至だっただろう。
だとすれば、旅を続けるか、辞めるかの瀬戸際に立たされた辺りから察するに「覚悟」の面ではユウナに負けていた事が分かるが、ガードのバルテロとの連携、窮地に陥った際の判断能力はもしかしたらユウナ達以上だったのかもしれない。
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