「魔法」
一般にFFの世界では、本来人間には成す事の出来ない様々な現象を起こす術、これをこう呼ぶ。
しかし一言に「魔法」と言っても、それはFF8の世界に限っては少々意味を違えた言葉となる。
この世界において魔法とは、魔女だけにしか扱う事の出来ない特殊な力の事を指す。つまり、人間には使えない。例えG.F.をジャンクションしていても使えない。
ゲーム内でスコール達が使用している魔法は、正しくは「疑似魔法」と呼ばれる。かの有名なオダイン博士によってその理論が生み出された、人間も扱える「魔法」だ。彼等はG.F.をジャンクションし、時には魔法そのものをもジャンクションする事で各種身体能力の伸長を図り、擬似的魔法を操るのである。他シリーズにおける「MP」の概念が存在しない事や個数管理されたりする辺りが、恐らくは「疑似魔法」最大の特徴だと言えるだろう。
さて、上述の通りスコール達はその疑似魔法を、G.F.をジャンクションした上で使用する。何故ならば、G.F.をジャンクションした状態でなければそれを使えないからだ。この事は、実際にゲーム中で一切のG.F.をジャンクションしていなければ「まほう」コマンドをバトルメニューにセット出来ない事実から容易に確認可能である。
だがしかし世界は広い。この世の中には、G.F.の介入がなくとも疑似魔法を扱う事の出来る人間が存在するのだ。その名もサイファー・アルマシー。知る人ぞ知る、バラムガーデン風紀委員長である。世界の何と狭い事か。
サイファーが疑似魔法と思しき行為に出ている事が確認出来るのは以下の二場面である。
  1. オープニングムービー、スコールとの訓練中
  2. サイファーパーティー加入時、特殊技「雑魚散らし」使用
種々の特徴から前者、オープニングムービーのラストで使われる技も「雑魚散らし」だと推測されるが、いずれにしろ双方共に炎で対象を攻撃している様子が見て取れる。そしてこの内少なくとも後者からは、G.F.をジャンクションしていない(何なら魔法も一切持たせない)状態で「雑魚散らし」を使用する事で、確かに彼がそういった状況にあっても炎を生じさせられる事実が確認出来るのだ。
繰り返すがスコール達はG.F.なくては疑似魔法を使えない。ならば何故サイファーはそれが出来るのか。今回はこれを考えたい。

また以下では、便宜上「疑似魔法」を「魔法」と記述する。


まず初めに知っておかなければならない事は、G.F.の存在なしに魔法を使える人間はサイファーの他にもいる、という事実だ。
ゲーム中に敵として出現する人間を思い浮かべるのが一番分かり易いだろう。即ち、SeeD実地試験時ドールに現れるガルバディア兵やエリート兵、ガルバディアD地区収容所に配備されている警備員、ミサイル基地のコマンド兵やバラムガーデンを襲撃したパラ・トルーパー等の事だ。ビッグス、ウェッジもこれに含められる。彼等の属するガルバディア軍にはG.F.の使用が禁じられているガルバディアガーデンの卒業生も多いであろう事から、軍としてもそれと同様G.F.を承認していないと推測され、よってガルバディア兵達はバトル中においてもG.F.の力に頼っていないと考えられる訳だ。
また、もっと身近な所で言えば、セルフィの事を忘れてはならない。彼女の特殊技「スロット」は、何らかの魔法を所持個数の減少なく、また所持していない魔法や果てに一般には存在していない魔法までも使えるという強力な技であり、そしてこれはG.F.ジャンクションの是非を問わない効果、能力を発揮するのだ。サイファーよりもよほど多岐にわたる魔法を扱えるこの技を外して考える訳にはいかない。
その他の味方、例えば所持中の魔法に限り個数消費なしで使用出来るリノアの「ヴァリー」やキスティスの特殊技「青魔法」は、前者はそもそも魔女としての力によるものであり後者は元々モンスターの特殊攻撃であったものに対して「特殊な効果を持つ」という観点より「魔法」の名があてられただけであると考えられる事から今回の謎を考える上では除外して考察するとしても、サイファーの他にこれだけ多くの該当者が存在するとなれば、そこにはサイファーにのみ固有な特殊能力の概念が存在するのではなく、彼等全員に共通した何らかの理論があるものと考えるのが自然だと言えよう。

そこで、重要な参考文献として参照したいのがFF8アルティマニアに掲載されている「魔法」に関しての解説だ。そこには今回のテーマの真理をつくのではと目されるとある文章が書かれている。引用してみよう。

疑似魔法は、訓練さえすれば誰にでも使用することが可能だが、
G.F.の装備なしに、通常の兵器類の威力を上まわることはむずかしい。

これが指すのは次の事実だ。訓練如何で、G.F.をジャンクションせずとも魔法を使用する事は出来る。
だとすれば、上述した「G.F.なしで魔法を使用した人間達」についてある程度説得力のある説明が出来そうである。
まずは大本の、サイファーの「雑魚散らし」について。アルティマニアには「訓練さえすれば魔法は使える」とあるが、ならば、実力的には正SeeDと比較しても全く引けを取らない、それどころかバラムガーデン一、二を争うだけの力を持つサイファーがそれを可能にしていたと考えるのは何ら不自然な事ではあるまい。ちなみに、「雑魚散らし」における炎が対象を怯ませるだけでそれ自体がダメージを与えている訳でない(=炎属性を半減するモンスターを対象としてもダメージ量に明確な変化がない)事はアルティマニア解説内にある「通常の兵器類の威力を上まわることはむずかしい」が故のものであるとも思えないではないが、それについては後述する事実からはっきりと否定出来そうである。
次に、敵として登場する人間が使用している魔法について。そういう人間の中でG.F.をジャンクションしていないという事がほぼ確実だと言えるのはいずれもガルバディア軍に属する兵士達という事になるが、彼等がG.F.なしで魔法を使える様になる為の訓練を受け、かくて正式配属、実践を迎えた経緯は想像に難くないだろう(アルティマニア内にもそれを示唆する内容の文章が記されている)。また魔法が使えるにしても、極めて魔力に特化したジャンクションさえ行えば下クラス魔法でさえ数千を下らないダメージ数値を叩き出し得るスコール達とは違って武器による通常攻撃に毛が生えた程度の効果しか出せない現実は、正にG.F.なし魔法の「通常の兵器類の威力を上まわることはむずかしい」という特徴そのものだと言える。そしてこの事からは、前述したサイファーの「雑魚散らし」における炎が、G.F.なし魔法故の低威力だからという訳ではなく、初めから相手を怯ませる為にと意図して力を抑えているのだという事がうかがえるだろう。何故わざわざその様な手段を取っているのかについては、もしあの炎に一定以上の威力を持たせるとすると、炎属性を吸収するモンスターを相手にした場合に「雑魚散らし」全体の威力が半減してしまう可能性がある事を危惧したからではないかと考えられる。
そしてセルフィの「スロット」については。彼女の能力からすればG.F.なし魔法を扱う事が出来たという事それ自体は何ら不思議でもないのだが、しかし彼女に関しては時にフルケアやジエンドという様なおよそ通常の兵器類の威力を上回っていないとは考えられない魔法を使用する事すらある。ただ、それは「スロット」が「特殊技」であるという事で説明が付くのではないか。各キャラクターがピンチでなければ発動出来ない「特殊技」は通常攻撃或いは通常魔法と比べて高威力で、尚且つ当事者がよりピンチ状態であればある程効果を増す事で知られている通りで、つまり「スロット」で使用可能な魔法はセルフィ自身が危険な状態にあったからこそ平常時を遥かに超えた力を発揮出来るのではと考えられるのである。ちなみにオーラ状態ならばピンチでなくとも「特殊技」を使用する事は可能であるが、オーラという魔法の力の上に成り立っている時点で通常以上の効果が出せるのは全くもって不自然ではなく、これが問題とならない事は自明と言える。

以上が事の真相だ。何の事はない、元より「使えない」のではなく「使える」のだ、それなりの訓練を積んだ者ならば。
しかし単に「訓練を積んだ者」として括られる人間達の内でも、所持していない魔法を使用するケースが明らかなものとして見られるセルフィとサイファーについては、他のケースとは区別して考える必要がありそうである。思うにこの二人は、世界各地に点在する特定の魔法がまるで泉の様に湧き出るポイント、「ドローポイント」と同等のものを自身の体内に一時的に発生させ、そのエネルギーを魔法として放出しているのではないだろうか。勿論、これは単なる仮説にしか過ぎないのであるが。


オダイン博士の生み出した疑似魔法理論は、後にG.F.という自律エネルギー体と組み合わせる事によって魔女の操る本来の「魔法」にすら匹敵する程の効果を可能にした。
更にそれは今、各地のドローポイント及びモンスターからのドロー、もしくは特定アイテムからの精製という手順すら踏まない、非所持魔法の使用という新たな境地を見出し始めている。
疑似魔法、そこにはまだ、更なる発展の可能性が秘められているのだ。


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