今回ここには、ある一つの、とても大きな、いや、メネの全てと言ってもいい事を書く事になる訳だが、まず、その大きな流れに乗る前に、証明しておくべき事があるので、まずはその事から書くとしよう。

あれはチョコボの空中庭園での出来事だ。貴方は、ゲーム上の画面で言えば左奥に位置している物体を調べた事はあるだろうか。当然そこに立てばフィールアイコンが表示されるので、既に御存知である人も多いだろう。同時にそこにあった現実に打ちのめされた人も又、多かったのではないだろうか。もしかしたら今でも悪夢に悩まされている人々がいるかもしれない。
そこには"オズマ"と呼ばれるモンスターがいる。とは言え、確かにそれは"オズマ"と称されてはいるが、その存在を言葉にした人物は確認されていない。それ以前に、モンスターというくくりで分けてしまっていいのか、とすら思う存在である。
一戦交えた人なら分かるだろう。それは尋常ではない強さを持つ。深くは触れないが、見た目が奇異で異形なら、その強さも奇妙で奇怪だ。

このオズマについて浮上する謎。それはジタンが、「なんだろう……ちょっと召喚塚に似てるかな」とそこを調べていた直後、「ちょっと待つクポ!!」とメネが慌てて呼び止めた事だ。
メネはこの後オズマの事を、「この世のものとは思えない…と言ってもオバケとかじゃないクポ」と評し、更に二度目以降ともなると「どうなっても知らないクポ……」とまで言うのである。
メネはオズマの事を知っているのだろうか?過去明らかになった真実により相当黒い背景が浮き彫りになっているメネが、オズマにすら精通している事も考えられなくは無いが、この部分については、参考資料として、イーファの樹でのエーコのセリフが一つ上げられる。

「モグ達って妖精でしょ?(後略)」

エーコといつも行動を共にしているモグが、イーファの樹内部のただならぬ雰囲気を察している様子を見たエーコの言葉である。つまり、妖精であるモーグリは、普通の人には感じる事の出来ない"何か"を敏感に感じ取る事が出来る、という訳だ。これに関しては、後にモグはモーグリではなく、召喚獣である事が明らかになったものの、普通のモーグリにおいて同様の事を言っても問題は無いだろう。
その、モーグリ特有の"何か"を感じる感性によって、オズマの、ある種モーグリ達にも通じる特殊な生態系を敏感に感じ取ったとするなら、このメネの言葉は十分に納得出来る話だ。

だが、こんな話では到底納得出来得ない事実が存在する。果たしてどれだけの人がその場面を実際に目撃しているのかは分からないが、それはあのオズマにジタン達が勝利した直後に起こる。
メネは、見事オズマを倒したジタン達に、「オズマのカード」と「こうりゃくぼん」なるアイテムをくれるのである。
この二つのアイテムの内「オズマのカード」については、全世界のカードプレイヤーの内、僅かに二人のみが使用してくる。内一人はこの世の者ではないので除外しても、もう一人は時期的な条件はあるがトレノのカードスタジアムへ行けば対戦出来る人物である、又、盗賊団を使って盗みを働いていた時に手に入れていた可能性もあるので、メネがそれを持っていたとしても不思議ではない。が、「こうりゃくぼん」についてはどうしても疑問が浮上してしまうのだ。
まず「こうりゃくぼん」とは何なのか。"だいじなもの"に分類されるこの本は、内容こそカードマスターになる為のヒント的な事が書いてあり、オズマの事には全く触れてないものの、ヘルプを参照してみるとそこには、「あなたはもう無敵です。よくできました。」とあり、確かにオズマを倒し、世界最強の称号を得た事を証明するアイテムになっている。
つまり、ただの、商魂たくましいだけである筈の一モーグリが、例え盗賊団に、ボスとして身を置いているとは言え、ただの満たされ得ぬ金銭欲でまみれているだけの一モーグリがこの本を持っている訳は無い。
では、カードと同様、盗んで手に入れた可能性は無いのだろうか。メネが"盗む"行為に少しでも荷担しているとすれば、それは可能だったであろう事は後に分かる。しかし、同様に後々明らかとなるが、メネは、直々に冒険者達に手を加えて金品を強奪するといった方法は全くとった事が無いのである。
更に、ゲーム中に対峙する盗賊達は、"だいじなもの"に分類されるアイテムに関しては全く盗まない為、そういった物を手に入れるには、相手を全滅させる以外の状況ではあり得ないのだ。これは、「こうりゃくぼん」を持つ程の、つまりオズマを倒した経験を持つ程の力を持つ冒険者達を、たかがあんな盗賊団ら風情が全滅させる事等可能なのか、という疑問が残る事を意味する。
では、この本をメネが持っていたのは何故か。簡潔に言えば、メネは単なる一モーグリではないという事だ。結論から書こう。元々他人の物だったそれを無理やり奪い取った訳では無い以上、メネは以前に、既にオズマを倒している節がある。しかも、恐らく"二人で"だ。この"二人"の内、メネではないもう一人については、後述する事になるが、メネが「こうりゃくぼん」を持っていたという事は、メネの方がリーダー的存在だった事が言えるだろう。

ここで発生する一つの疑問。それは、前回記した"メネにはあまり体力が無い"という事。チョコボの桃源郷で、チョコが留まる為帰るに帰れなくなったジタン達を持ち上げる事が出来なかった事から判明した真実である。
ジタン達を持ち上げられない程度の体力、腕力は、オズマと対比させるなら無いに等しいと言える。確かにメネは、既に明らかである脅威的な飛行能力は持ち合わせているものの、それだけでは実際の戦闘で、しかもオズマを相手に勝つ事等出来はしない。
しかし、そのメネが、オズマを倒した二人の内ではリーダー格なのだ。腕力と体力に著しく劣る者がリーダーを務めるパーティーがオズマを倒す事の出来る可能性、推測するに、それは強大な魔力であるに違いない。

この"メネは恐るべき魔力を秘めている"事が明らかになった事により、今まで全く見えていなかった様々な真実が次々と明かされていったのだ。
過去全ての事を含め、ここまでは単なる前置きに過ぎない。ここからは、メネの本当の真実を、改めてその誕生から推察してみる事にしよう。


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