第1回 上辺だけの「自由」

この世界は 暗黒に包まれている
風は止み 海は荒れ 大地は腐っていく
しかし 人々は一つの予言を信じ それを待っていた
この世 暗黒に染まりし時
4人の光の戦士 現れん
長い冒険の末 4人の若者がこの地に辿り着いた
そしてその手には それぞれクリスタルが握られていた

ほう。
まあそんな前置きは今はどうでもよくて、プレイヤーはまずこれからの冒険を共にするメンバーの選定に迫られる事になる。光の戦士たる4人それぞれについて、戦士、シーフ、モンク、赤魔術士、白魔術士、黒魔術士という6通りの選択肢の中からプレイヤーの好き好きにジョブを決定するのだ。ジョブの重複は許されるので、その組み合わせは126通りにも上る。
さて、どうするか。悩む所なのでここは各ジョブの特性等にでも軽く触れてみる事としよう。

戦士
物理攻撃の雄。ゲーム全編において攻撃面で活躍する。
重い装備が祟ってモンスターの攻撃を中々避けられないのは間抜け。

シーフ
「盗賊」と名乗っておきながらアイテムの一つも盗めない。
素早さは高いが、攻撃力は低いし魔法も使えないしで正直言って役立たず。

モンク
レベル10辺りからは武器を、レベル45、6からは防具を装備しない方が強くなるという変人。
序盤は役立たずだが、終盤ともなれば戦士以上の活躍を見せる。

赤魔術士
白、黒両方の魔法を使用出来、尚且つ魔術士系ジョブの割には物理攻撃もそこそこという万能ジョブ。
…と言うのは言い過ぎで実際は一部魔法が使えないし物理攻撃も一線で活躍するには至らない中途半端ジョブ。特に魔法の使用回数が低いのは痛い。

白魔術士
白魔法の使い手。戦闘補助はお任せ。
ただシステムの関係上魔法を使用出来る回数はかなり限られている為、ボス戦以外ではおちおち魔法ばかり唱えてはいられず、その扱いには困り果てる。

黒魔術士
黒魔法の使い手。魔法攻撃はお任せ。
ボス戦でしか全力を出せないのは白魔術士と変わらないが、加えて防御力が全ジョブ中最低というオマケ付き。

先に126通りとは言ったが、これを見ればそれら選択肢の殆どは初めから潰されてしまっていると言わざるを得ない。
まずシーフはない。白、黒魔法それぞれ高レベルの魔法を使いたいので赤魔術士もない。
この時点で早くも全組み合わせの7割は切り捨てられ残り4ジョブ(全35通り)という事になるが、白魔術士、黒魔術士1人ずつは必定か。
残る2枠は戦士、モンクの組み合わせ3通りである。しかしやはり物理攻撃のスペシャリストたる戦士は欲しい。残るは2通りである。
第4の枠をどうするか。結局ここは、最終的に戦士以上の実力を誇る事となるモンク以外にはあり得ないのだった。

如何か。「ジョブ選択は自由」という触れ込みでありながら、各々のジョブの特徴を知ってしまった以上、メンバーは戦士、モンク、白魔術士、黒魔術士というただ1通りの組み合わせ以外に考えられなくなってしまうのである。他に考えられて序盤が厳しいものの戦士がモンクでも良かったり逆にモンクが戦士でも良かったりする程度か。
あまりに酷い「自由」の搾取。FF1の物語はここから始まるのだ。

ちなみにジョブ選択後は各キャラクターに名前を付けなければならないが、筆者の感覚で名付けてしまっては忍びないので以後はジョブ名で呼ぶ事とする。


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