第2回 汚れた英雄
そんな訳で光の戦士達はコーネリアの町にやって来た。
やって来たはいいが、さて何をすればいいのか。
いかんせん情報が全くない。まずは人々に話を聞いてみなければなるまい。
手当たり次第に聞いてみる。
ここは夢の都コーネリア……
どうしたやけに元気ないな。腹でも痛いか。
昔 私は遥か東の港町
プラボカに住んでいました。
お前の身の上話なんか聞いてもしょうがないんだけどな。
私は踊り子! ウフフっ!!
そうかそうか、踊り子になれたのがそんなに嬉しいんだなそれじゃあ。
井戸を発見。調べてみる。
井戸です。何かありそうで何もない井戸です。
一体誰の呟きなんだか分からないが、このメッセージは奥が深い。
本来ならこのメッセージは「井戸の中には何らかのアイテムがある」という可能性を示した上でこそ意味を成す言葉だろう。そうでないのならここでは普通に何もない場所を調べた際の「そこには何もありません」を表示させておけばいい筈だ。
にも拘らず、シリーズ第一作の尚且つ最初の町のしかも一つ目の井戸でこれをやるスクウェア。この辺りの思い切りの良さに、FFが後々シリーズ全体で十作を越える程の人気作へと成長した理由の一端が垣間見える。
町の中心地には噴水が湧いている。調べてみる。
澄んだ水に顔を映してみましょう……
まあ! 汚い!
さあこの水で顔を洗って! 洗って!
一体誰の呟きなんだか分からないがオイ、言ってくれるなオイ。
はっきり「汚い」と言われているがこれは戦士達の顔が汚れているからか或いは戦士達が醜男だと言いたいのか。
一見する限りでは当然前者の様に見えるが、宿屋に泊まった直後ですらこう言われてしまったりするのを思うと実は後者の事をとてつもない皮肉を込めて言っていると感じるのは気のせいだろうか。
真偽の程は定かではないが、コーネリア国の王女が何者かにさらわれたらしい事を知った光の戦士達は、えも言われぬ大きなしこりを心に残したまま、城へと赴くのであった。