※赤い文字で書いているのは本編(「テラの民起源説」)と内容が同じ部分です。
  読み飛ばして戴いても問題はありません。




本編では、メネ達召喚獣を生み出した伝承を語っていたのは「テラの民」であるとしていた。
が、実はメネ達の伝承を語った者達として考えられるものとしては、もう一つだけ考えられるのだ。結果として私はこの説は間違っていると判断するのだが、今はそれは置いておいて、その説について触れてみる事にしよう。

「メネΩ」では、デブチョコボが、チョコにもしもの事があったら、という事をモグタローに頼んでいたとあった(本当ならここで「モグタローがチョコの事を見守りつつヘルプの仕事をどうやってこなしていたのか」という謎が浮上するところなのだが、前回当時は全く気付いていなかった。ちなみにこの謎についてはモグタローが召喚獣だという事で解決済み)。では、そもそもデブチョコボがモグタローにチョコの事を頼んだのは何故なのだろうか?
少し考えて、私はこう思った。もしかしたらモグタローは、デブチョコボが関わりを持つ唯一の「桃源郷外部の人物」だったのではないだろうか。あの閉ざされた空間の事である、来客なんてもっての外であろうし。
ではデブチョコボはどの様にしてモグタローと出会ったのか。それは簡単な事だ。デブチョコボか、もしくは周囲のチョコボ達が何らかのヘルプを参照した時に出会ったのだ。

ここで少し話が逸れるが、モグタローが単身で「チョコボでないと入れない筈の」チョコボの桃源郷に足を踏み入れられているという事は、その間の移動は「瞬間移動」という特殊能力で行われている可能性が増してくるかもしれない。ただし彼には実体が無い事が判明したので「実際に移動している説」も生きてはいるのだが。

さて話は戻って、よくよく考えるとここで疑問が発生する。何故デブチョコボは、わざわざ「桃源郷外部の人物」にチョコの事を任せたのだろうか?折角桃源郷にはチョコボがあれだけいるのに、中には「外の世界に出てみたい」と言っている者すらいるのに。普通に考えれば、チョコの事をチョコボに頼めるのならば、わざわざモーグリに、強調して言うなれば「メネの件で明らかな様に桃源郷に住まう事を頑なに拒絶する」モーグリという種族に頼む事は無いのではないだろうか。
なのにデブチョコボはチョコの事をモーグリのモグタローに頼んだ。これは、勿論デブチョコボがモグタローの事を心底信用していたからとも言えるかもしれないが、それ以前に、「彼等は基本的に外へ出て行く事は無い」という事を示しているのではないか。つまり、「外部と接触を断っている」のではないだろうか。
そう、以前の妄想にあったが、FF9のチョコボという種は総じて「人見知り」なのである。ゲーム中で普通に姿を見る事が殆ど無い位なのだから、桃源郷にいるチョコボ達が「外部と接触を断つ」事を目的としてあそこにいると考えてもおかしくはない。
では、どうして彼等はあんなにも頑なになってしまったのだろうか。FF9の世界がFF3の世界と何らかの繋がりを持っている事はゲーム中のあるイベントより明らかだが、そのFF3の事を思い返すと、当時のチョコボ達は普通に人間に接していた筈である。少なくとも見た目普通の一人間に見える主人公達とは何事も無く付き合っていたのだ、確かに。
FF9-FF3間ではかなりの時間が空いていると思われるので、その間にチョコボの性格が大きく変わった、と考えられなくはないかもしれないものの、その他の、特にこれと言ってFF9と繋がりの無いシリーズの事も考えれば、やはりあのチョコボ達の引き篭もり具合は普通ではないのである。
一体何故そうなったのか。

それに当たっては、チョコを除いて、チョコボをゲーム中で見る事の出来る数少ない機会の一つであるダリでの事を考えてみよう。
ゲームにおいてジタン達がダリの村に辿り着いた時、そのダリでは、黒魔道士生産が盛んに行われていたが、流れ作業で進んでいく一連のそれの動力となっていたのはチョコボであった。
チョコボという種は人間を、時には複数乗せて悠々と、しかも長時間走り回れる程に体力面で優れている事が以前から特徴として恐らくよく知られていたであろう事から、ダリでチョコボが動力役として働いていたのはごく普通の事だろう。
大事なのは、恐らくそれが理由で、以前はかなりの数のチョコボがこういった労働を任せられていたと思われる点である。
では、もし彼等チョコボ達が、その現状を芳しく思っていなかったとするならどうだろうか?
繋がりのある無しにかかわらず他シリーズのチョコボの事を考えてみると、例えばFF10では連絡船の動力として『シン』に襲われる危険すらはらんでいるのに健気にも動力として日々走っている。それどころか、より危険性が高く、実際作戦中に甚大な被害を被ったであろう騎兵隊の足としても活躍しているのだ。しかし、FF10での彼等はまだ「必要性」の点で重要な位置にいるのでいいかもしれない。片やFF7ではどうだろうか。あの世界でのチョコボは、ただひとえに人間という愚かな生物の娯楽の為だけに走っているのだ。GPを荒稼ぎしたいだけのチョコボ頭に毎日こき使われているのだ。まあそれに関しては、レーサーとして大成しさえすれば生活は優遇されるかもしれない。しかし人間とは傲慢なもので、たかがレースデビューから数回だけであろうが良い結果が出せなかったものなら、すぐにでも野生へ放り出されてしまうのである。元々野生のチョコボであるならまだしも、一人前に走るまで野生とは比べ物にならない程温い生活を散々送らせておいて、である。
そんな状況にあってさえ健気に人間に従事し続けている彼等である為、FF9のみにおいて突然反旗を翻すとは普通であれば考えにくいが、しかし、FF9には「霧」という重要な要素がある事を忘れてはならない。
そう、「霧」である。生命の根幹である魂がむき出しにされている事で、あらゆる生物を本能的にさせるその「霧」は、例外無くチョコボにも影響をもたらしたのだ。これまで好き勝手に、自分達の都合の為だけにこき使ってきた人間に対して密かに蓄積され続けてきた鬱憤が爆発したのである。
鬱憤が爆発したのが人間であったならば、他国に対して戦争を仕掛けたりと、暴力的な行動に出ているであろう。実際ガイアの歴史においては、幾度も小国が発生しては滅んでいる。しかしそれがチョコボならどうだろうか。走る事にかける体力では人間の比ではないであろうが、残念ながら人間を相手取って十分に戦える力を持っているとは言えない。
そんな彼等が人間に対して出来た反抗とは何だろうか。もしかしたらそれが、現状からの脱却、つまり現在の生活からの逃亡だったのではないだろうか。秘密裏に情報を交換し合った上で同時多発的に逃げ出したのか、或いは徐々にその流れが大陸全体に伝わっていつしか大陸からその姿が消えたのか、それがどうかは分からないが、人間の下からいなくなる事で、反発の念を表したのではないかと思われるのである。
しかし、それだけで人間に対して深く根付いた恨みつらみが晴れよう筈もない。やはり人間にこれまでの報いを受けさせてこそ、初めて本懐は遂げられるものなのだ。
しかし、ろくに戦闘能力に長けた個体のいない現状において、今すぐに報復しようとしたところで返り討ちに遭う事になるのは明らかである。だからと言ってチョコボだけで固まって生活しているのでは、人間に見つかるのは時間の問題であろう。そこで彼等は、人間に対して十分に対抗出来る策を講じる為に、また、その間人間の目から離れる為に、霧の大陸を離れて独自の集落を持ったと考えられる。そう、後にチョコボの桃源郷と呼ばれる事となるあの地である。

それから彼等は桃源郷で、如何にして人間に報復しようかという事を考えた訳だが、そこでメネを始めとする召喚獣の伝承がいつしか生まれたのではないだろうか。ただし、彼等が伝承から召喚獣が生まれるという事を知っていたとはあまり考えられないので、恐らくその伝承は、人間に比べて非力な彼等が「こうあって欲しい」という希望の下、教訓の様な感じで語られていたのではないだろうか。
ここで考えられる事は、そういった伝承によって生まれた「最初の召喚獣」は、もしかしたらデブチョコボその人であったのではないか、という事である。
やはりデブチョコボとは特異極まりない存在だという事は誰しもが認める事実であろう。それにFF9のデブチョコボには、ある特定の者、しかも複数に渡る者達の夢に現われるという能力を持っているのだ。更に、ギルガメッシュという存在を考えるに、時間的に近めかと考えられるFF5の世界においてデブチョコボは召喚獣として登場している。これらより、FF9のあのデブチョコボは、桃源郷に逃げて来たチョコボ達の望みが生み出した召喚獣だったのでは、と考えて十分に足りるのである。
だとすれば、デブチョコボは、一般的なチョコボとは違ってかなりの力量を持つ可能性が出て来るのだが、一方で、伝承から召喚獣が生まれ出る事を知ったチョコボ達は、デブチョコボを遥かに凌駕する様な凶悪な存在を創り出そうと画策した可能性もあるので一概にデブチョコボの実力とメネ達のそれを比較する事は現時点では出来ない。

さて、これが「メネ達の伝承を語った者達として考えられるもの」のもう一つとなる。一応はこちらでもつじつまが合っていそうな気はするのだが、前述の通り、私はこの説を最終的に間違っていると判断する事になる。
何故そう判断したのか、その理由は今しばらく置いておく事とするが、ここで大きな問題が発生してしまった。
それというのも、この説を否定するに至る「理由」が、言い切ろうとするにはどうしても弱い、つまり、今後ちょっとした新しい真実が明らかとなった場合、逆転して今度はこちらの説の方が説得力を持つ事になるかもしれないのだ。ともすればそれは容易であるかもしれない。
そこでここではこれより、現時点の私が間違っていると判断した「チョコボ起源説」が、もし正しいものであると仮定した場合、一体どういう事が言えるのか、を書いてみる事とする。もしも後にこちらの説が有力であると判断する事になった場合に備えて、である。
繰り返すが、チョコボ達がメネ達を生み出した、という点を根幹としている「チョコボ起源説」は、頼りない理屈ではあるが否定されているので、注意戴きたい。勿論、独自に考えをめぐらせて各人毎においても判断して戴ければ幸いである。


まず、メネ達がいずれもチョコボ達によって生み出されたものであるならば、当然彼等はチョコボを敵の対象として見ない事が言える。そして更に重要な点として、全く同じ目的で生み出された存在である為、彼等同士が敵対する事もまた、ないのである。つまり、モグタローはメネ、モグオ側の者であるという事が言えるのだ。
それを踏まえた上で、順を追って前回の「メネΩ」から変わってくる事項について考えてみよう。

まず「メネΩ」では導入として、メネが強大な魔力を持っている事を証明する為にメネとモグオが二人でオズマに勝利している事を示したが、ここで考えてみた。
本当にメネとモグオは二人だけでオズマに勝つ事が出来たのだろうか?
ここはFF9のバトルシステムに則って考えてみよう。メネとモグオについては未だに詳細な実力が不明なので、まずは実際に戦って確認の出来るオズマについて考えると、まず奴が持つ特徴の一つとして、「一瞬でATBゲージが満タンになる」というものがある。また、FF10-2で確認される、行動可能になってから行動を選択する(=コマンドを決定する)までの時間の基準値である「思考時間」という概念がFF9にあるかどうかは不明だが、その凶悪さから、例えFF9に「思考時間」が存在していたとしても行動可能になってから行動を決定するまでの間にタイムラグは発生しないものと仮定すると、奴の行動が終わった次のフレームではもう次の行動が決定されている、という状況が発生する事となる。
一方、その点に関してメネとモグオの二人についてはどういう事が言えるだろうか。彼等がオズマと同様に「ATBゲージが瞬時に満タンになる」という特殊能力を持っていたかは分からないが、その素早さを考慮すれば、それと同等の現象が恐らく起きていた事だろうと考えられる。また、思考時間に関しても、手加減しないのであればやはりオズマと同じく無くす事は出来るであろう。
となるとこの時点で、メネ・モグオvsオズマという状況においては、メネかモグオが行動を休めない限り、三者が順番に一回ずつ行動する事になる(カウンター攻撃が発生した場合を除く)。メネやモグオのどちらかが、オズマのとある行動と行動の間に二回以上行動するのは、彼等のスピードをもってしても不可能な事なのである。同時に、オズマがメネやモグオの行動間に二回以上行動する事もまた不可能な事となる。
では、バトルの内容はどうなるだろうか。バトル中にオズマが取る行動は14種類に及ぶのだが、まずはそれぞれについてその特徴をおさらいしてみよう。

「ジハード」
・敵味方を問わず全員攻撃である
・闇属性
・オズマは闇属性との相性が「吸収」

「フレア」
・無属性単体魔法

「メテオ」
・無属性全体魔法
・ダメージの算出方法が「1から(自分のLv+自分の魔力-1)までの乱数×110」

「ホーリー」
・聖属性単体魔法

「フレアスター」
・無属性全体魔法
・ダメージ値は「対象のLv×50」で固定

「カーズ」
・物理タイプの全体攻撃
・ダメージと共に混乱、毒、スロウ、ミニマム、暗闇の五つの追加効果を確実に発生させる
・対象に上記の追加効果に対する耐性があれば、追加効果は発生しない

「レベル4ホーリー」
・Lvが4の倍数の対象に聖属性攻撃

「レベル5デス」
・Lvが5の倍数の対象を戦闘不能状態にする

「デス」
・対象を戦闘不能状態にする

「ケアルガ」
・対象のHPを回復
・カウンターで使用する事がある

「ミニマム」
・対象をミニマム状態にする
・対象がミニマム状態だった場合は確実に命中する(ミニマム状態を解除する)

「エスナ」
・各種の不利なステータス異常を解除

「MP吸収」
・対象のMPを吸収する
・使用MPは0だが、自身のMPが0になるとこれは使用しなくなる

「バーサク」
・対象をバーサク状態にする
・条件を満たした時のみカウンターで使用する

以上である。
この内、メネ達に対してはあまり影響を与えないであろうものを挙げると、まず「フレア」と「ホーリー」については、単体攻撃なのでメネ達に致命的なダメージを与える事は出来ないと思われるので除外出来る。次に、対象にステータス異常効果を付加する「カーズ」「デス」「ミニマム」「バーサク」に関しては、メネ達がボス級以上の実力を持っている事から、それらステータス異常に対する耐性はあるものと考えられ、また、召喚獣である事も加味すれば、これらは完全に無効化する事が出来るものと考えられるので除外する。「レベル4ホーリー」と「レベル5デス」については何とも言い難いものの、前者については例え複数人数が該当する事になっても、受けるダメージ量は「ホーリー」を下回るものなので、問題は無いと言えるだろうと思われる。後者については、一人ならまだしも、もしも複数の味方が戦闘不能になる事になれば幾らメネ達であろうがピンチに陥る事になるが、そもそもレベルが5の倍数の味方を複数擁している状態で正体不明のモンスターに挑もうとする様な無謀な行動にメネが出るとは考えられない為、当時における彼等のレベルは、少なくとも「レベル5デス」を使用され た場合に、複数の戦闘不能者が出てしまう様な状況ではなかったという事であろう。「ケアルガ」と「エスナ」はオズマが自身に対して使用するものなので当然除外する。「MP吸収」は、まずオズマより残りMPが多い相手がいないと使用しない、という特徴があるが、そのオズマの最大MPは実に9999なので、事実上使用する様な状況になる事はない。勿論メネ達、特に魔力に長けるメネのMPが9999、或いはそれ以上である可能性は大きく(ゲーム中に10000以上のMPを持つモンスターは登場しないので、それ以上になれるものなのかどうかは不明だが)、そうであるとしたらオズマがMP吸収を使用する条件をいとも簡単に満たす事になるが、その場合そもそも吸収されたところで痛手にも何にもならないので、やはり除外対象となる。
となると、残ったのは「ジハード」「メテオ」「フレアスター」の三種となるが、これについては少々考えてみなければならない。
まずは「ジハード」について。これは威力面で強力な事は勿論だが、より重要なのは、これは敵味方を問わず全体攻撃であって、更にオズマが闇属性の攻撃を吸収する、という点である。唯一の回復魔法である「ケアルガ」はオズマの残りHPが27767以下になっていなければ使用せず、残りHPを問わず使用する可能性のあるカウンター「ケアルガ」に関しても、カウンターの発動確率は残りHPの推移に応じて13%〜50%の範囲でしか動かない。つまり、その程度の回復量であればメネ達にとっては力押しも十分に可能であり、問題はないのだが、そこに全ての奇数回目のターンで使用する可能性のある「ジハード」が回復手段の一つとして加わるとなると、長期戦化するのは避けられないのだ。勿論、ただ単に戦闘が長期化するだけの事であれば何の事は無い。だが、そこに次に挙げる事項が加わると事態は一変してしまうのだ。
次は「フレアスター」について。「フレアスター」のダメージ量は一定値で固定だが、使用者によって算出方法が異なるのは先にクジャとトランス・クジャが使うそれぞれの「フレアスター」のダメージ算出式に若干違いがある事から明らかで、そしてオズマについてはそれが「対象のLv×50」である。ゲーム中ではLvが100以上のモンスターが登場せず、ジタン達のLvの上限値も99である事から、FF9におけるLvの上限は99であると仮定すると、オズマが使用する「フレアスター」で受けるダメージの最大値は4950となる。
一見これは何でもない値の様ではあるが、果たしてメネにとってはどうだろうか。過去の妄想でも体力があまり無い事で知られているメネである。そこに体力自慢のモグオが加わるとすれば、確かに彼等の強さは折り紙付きである。が、流石の彼等であっても、相手全体を対象にした攻撃の内、誰かの分を他の誰かが、といった様に都合良く分配出来たりはしないだろう。
となると実は、メネは「フレアスター」によって大きな被害を受けてしまう事にもなるのではないだろうか。勿論これには反論出来る余地が二つある。一つは、幾ら体力面で劣っているとは言っても、相対評価する基準が元々高い為に、普通の人間、或いは普通の人間では最早なくなってしまったがジタン達と比べれば十分に高いHPを誇っているのにもかかわらず「比較的劣っている」と表現されてしまっているかもしれない点。更にもう一つは、召喚獣にLvの概念があるかどうかは分からないがここではあると考えて、Lvが上限の99である事の不利性、それはつまり「フレアスター」に関する事等々を
チョコボ達が理解していたとすれば、強力な実力を持ちながらにして、Lvの値だけは低い存在に仕立て上げていた可能性はある。しかもそれは「レベル5デス」等の、Lvの値がとある数の倍数であるかないかで攻撃の命中如何が変わる類の攻撃に備える為、7、11、13等、又、その程度の素数であったかもしれない。
これらの反論説より、結局何とも言えなくなってしまうのだが、しかしこれも、次に挙げられる事由と比べれば、実は何でもない事なのである。
最後は「メテオ」について考えよう。オズマの使うメテオのダメージ量の算出方法は上記にある通り「1から(自分のLv+自分の魔力-1)までの乱数×110」だが、この式にオズマのLv99と魔力32を代入すると「1から130までの乱数×110」となり、これより、「メテオ」で受けるダメージの最小値は110で、同じく最大値は14300となる。勿論後者の場合はダメージ上限の超過分を切り捨てるので実際に受けるダメージ値は9999となる。これはつまり、相手がジタン達であった場合、運が悪ければ、どれだけ熟練したパーティーであってもそれだけで全滅してしまう危険性をもはらんでいるという事を示している。
では、これに関してメネはどうだろうか。やはりこれに関しても確実な話は何一つ出来ないのだが、もしもメネのHPが10000未満であったとするなら、唯一の回復役と言っていいであろう彼が二ターンに一度は戦闘不能になってしまう可能性があるという事になり、絶対の自信を持ってオズマと戦うには少々穴がある気がしないではない。

ではここで、より最悪の状況を想定してメネ・モグオvsオズマの内容をシミュレーションしてみよう。ちなみにバトル中の行動順が決定される上で最も重要にして唯一の要素である一ターン目の行動順に関しては、敵は瞬時にしてATBゲージが満タンになる為、わずかながらオズマの方がメネとモグオの行動を上回ったと仮定する。

オズマ:メテオ → メネとモグオに9999ダメージ、メネが戦闘不能に
モグオ:何らかの攻撃 → ダメージ上限超過によりオズマに9999のダメージ
オズマ:カーズ → モグオにダメージ(追加効果は発生しない)
モグオ:フェニックスの尾 → メネ復活
オズマ:ジハード → メネ再び戦闘不能に、オズマは闇属性により回復

さて、どうだろうか。
もし次にモグオがまたメネをフェニックスの尾で復活させたとしても、次のターンのオズマはカーズを使用する可能性がある為、やはりメネは戦闘不能状態となってしまう。しかもこの間、徐々にモグオにもダメージは蓄積されていっている点を忘れてはならない。
つまり、一度メネが戦闘不能になってしまった場合、モグオが彼を逐一復活させると仮定すると、メネ側の戦況は悪化していくばかりとなってしまうのだ。しかも、オズマは奇数ターン目にジハードを使用してHPを回復させてくる他、カウンターでケアルガも使用する可能性があるので、先のシミュレーションにおいて折角モグオが一ターン目に与えた9999ダメージが完全に相殺されるのも時間の問題である。
以上の点より、もしもメネが戦闘不能状態になってしまった場合にモグオが取るべき行動は、彼をそのままにしておいて単独でオズマに立ち向かう、という事になる訳だ。では、そうすると仮定した場合は、どう考えられるだろうか。
まず言える事は、モグオが実行する全ての行動に対し、オズマはカウンターでケアルガを使用する可能性があるという事である。実際には何度と無く連続でカウンターを発動するという事はまず無い訳だが、ここではたった1%であってもメネとモグオが敗北する可能性を残す訳にはいかないので(そんな可能性があるのであれば、そもそもメネ達がオズマに戦いを挑んでいたかどうかが怪しくなる為)、最悪の状況を考える必要性があるのだ。
もしもモグオの全ての行動に対してケアルガをカウンターで発動するという事になれば、流石にダメージが完全に相殺され切る事は無いが、その八割方は無効化される事となってしまう。これでは戦闘が極めて長期化する事は避けられず、勿論ジハードの使用によって折角コツコツと与え続けていたダメージを一瞬にして0にさせられる可能性もある事になる。
その間減り行くモグオのHPに関しては、モグオがピンチになってきたところで、某ルートから大量に入手出来るであろうエリクサーを使用すれば事足りるのだが、こうなるといつまで経ってもお互いにダメージを与えては回復する作業を繰り返すだけで戦いに終わりが見えない。
もしこういう状況でモグオがオズマをやっとこさ倒せたとして、それでオズマが素直に二人の舎弟的身分に成り下がるのかと言われるとかなり疑問だが、一応はこの叩いて回復して、という状況が長時間に亘ったと仮定して更にシミュレーションを進めてみよう。
では、戦いは激しいのに何故か均衡状態を長時間保った末に何が起こるか。それは、オズマのMP切れである。特徴上モグオにはMPが殆ど無いものだとすれば、オズマにはMP吸収を使う機会が無くなるので、幾ら9999という膨大なMP量であろうが、いずれは底を尽きてしまうだろう。
MPを失ったオズマが取る行動。それは、奇数ターン目にフレアスター、偶数ターン目にカーズ、これを繰り返す、というものである。フレアスターによって受けるダメージは、モグオのLvが99であったと仮定しても、モグオにとっては高々と表現してもいいであろう4950程度に過ぎない。また、カーズによって受けるダメージはそれ以下であると考えられ、勿論それによる追加効果は発生しないので、メテオを使用される可能性のあったさっきまでの状況に比べて飛躍的に自分が受けるダメージ量が少なくなる。更に相手はジハードとケアルガというHP回復方法の全てを失ってしまっているので、モグオに対して出来る事はもう何も無くなっているに等しい状態になるのだ。
この状態になってしまえば、後の話は簡単なものであろう。モグオは、先程よりも自身のHPの減少スピードが遅くなっている中で、もはや体勢を立て直す事の出来ない目の前の球体をいたぶっていけばいいだけなのだから。
これより、モグオがいちいち戦闘不能になったメネを復活させないとすれば、一応メネとモグオがオズマに勝利する確率は100%という数字をたたき出す事になる。勿論このシミュレーションは、オズマが漏れなくカウンターでケアルガを使用するという事を前提としているので、実際にこの通りに戦えば、大抵の場合は飛躍的に早い段階で勝利を収める事が出来得るのは明らかだろう。
ただし、だ。このシミュレーションは、メネ側に有利となるある事を前提としている事を忘れてはならない。その「ある事」というのは、「モグオがオズマに対してダメージを与えられる何らかの行動を持っている」というものだ。
今回のオズマ戦のシミュレーションは、勿論ながら各種妖精達に希望の宝石類をあげていない状況を想定している為、オズマが闇属性を吸収すると共に、射程距離が「遠」でない攻撃は相手に届かない。
つまり、もしモグオが例えば直接攻撃しか攻撃手段を持っていないとしたら、彼がオズマにダメージを与える事は全く出来なくなる。これにより彼はメネが戦闘不能に陥る度にメネを復活させる必要が生じる事となり、一応は100%であった勝率が、一気に下がってしまうのである。
また、チョコボ達が生み出した召喚獣である事により、元からメネと対を成す存在として生まれ出てきた可能性がある為、それも十分有り得るものとして考えられるのだ。
長くなったが結論を言おう。つまりメネとモグオは、幾らあれだけの力を持っていても、もしかしたら二人だけではオズマに勝てなかったかもしれないのだ。
勝てないかもしれないとなれば、冷静なメネはオズマに戦いを挑む事は無かったのかもしれない。しかし「こうりゃくぼん」がメネの手中にあるというのは紛れも無い事実である為、ここに疑問が生じる事になるのだ。
「どうやらメネはモグオと二人ではオズマに対して負けてしまう可能性があるのに、何故彼は『こうりゃくぼん』をその手にしているのか」

この謎を解明する為の必要条件。それは、「メネがオズマに確実に勝てるという確信を得る」という事だ。
そこで遂にモグタローが登場する。
厳密にいくのであれば、モグジローの実力如何によって別々に考えを展開させる必要があるかもしれないが、例えモグジローが単なる普通のモーグリだったとしても、メネ、モグオに加えてモグタローさえいれば、モグオが戦闘不能に陥ってしまったメネを随時復活させている状況であっても、その間にオズマに攻撃を加えたり、モグオとの連係プレーでメネのHPをエリクサーで即座に完全回復させる事が可能になる。
勿論、モグタローもメネと同時にオズマのメテオ等で戦闘不能に陥ってしまう可能性がある訳だが、万が一そうだと仮定すれば、そこを見事補完してくれるのがモグジローなのではないだろうか。
少々繰り返すが、何故完全無比の存在として生み出す事も可能だったと思われる筈の「人間への復讐手段」の一翼「メネ」に、体力面に関して他の能力とは明らかな違いがあったのか、を考えれば、モグオと共にいて対になる様にして生み出されたか、或いは「元々完全なる一つの個体だったものが何らかの理由で分割されてしまったか」となる為、例えばモグタローも体力的にやや(あくまでも凶悪極まりない他の能力と比べて)落ち度がある場合、対になってそれを補完する何らかの存在がいてしかるべきなのだ。そしてそういった存在がいるとするなら、まさしくモグジローであるだろう、という事である。
以上が、メネがオズマと相対するに当たって100%の勝率を確実のものとする戦略である。勿論の事、実際に戦闘に至るまでのメネにとっては、今回シミュレーションに用いた様な詳しいデータ類等は知る筈の無い事ではあるが、3人ないしは4人のスピードに関してや、一撃のダメージ上限が9999である事に加えてのメンバーのHP量を考えれば、勝利を確信するのも最早当然と言ったところだろうか。


さて次は、メネ達の思惑、目的について。
「メネΩ」においては、メネが両親を始めとするモーグリ達に捨てられた事によって、果ては生きとし生ける全ての者に対する憎悪の念を募らせ、世界征服を企てたに至ったとあった。
しかし、メネ達を召喚獣として生み出したのがチョコボ達であれば、これは当然矛盾が生じる事となってしまう。これに関しては、敵として見る対象は人間のみであり、また、目的も世界征服ではなく、純粋に人間という人間を根絶する為に動いたと考えられるだろう。


次に、彼等の出生について、これまでもやや触れられてきた部分はあったが、更に突っ込んで考えてみよう。
ポイントとなるのは二点。先に「元々完全なる一つの個体だったものが何らかの理由で分割されてしまったか」と書いたが、実際のところ、元々別個の存在として生み出されたのか、或いはそうではないのか、という点が一つ。そしてもう一つは、彼等が生まれ出でたその時からお互いに認識を持っていたのか、もしくは別の場所で誕生した彼等がその後に出会ったのか、という点である。

まず前者に関してだが、やはりこれは「元々完全なる一つの個体であった」と考えるのが妥当だろう。理由として考えられるのは、やはり別々に生み出すとした場合、体力面で劣るメネ、同様に魔力面で劣っていると思われるモグオ、という風に、わざわざ長所短所を際立たせる事には意味が感じられないのだ。
別の視点で考えてみよう。チョコボの桃源郷には、その体色から考えて、通常のチョコボや、川チョコボを始めとして、様々な種類のチョコボがいたと考えられ、中には空チョコボもいたと思われる。となれば、その空チョコボは空中庭園へ行った経験があると考えられるだろう。或いは、単なる普通の人間であったと見受けられるシド1世すら空中庭園に訪れている事から、別に空チョコボでなかろうが同地に辿り着けた可能性はあるだろう。
それはともかく、空中庭園に行った事があるならば、当然オズマの事に関しても知っていた筈だ。もしかしたら初めてオズマを発見したチョコボは、不用意に近付いてしまったばかりに奴の犠牲になったのかもしれない。勿論その犠牲に関する真偽の程は確かではないが、少なくともオズマの存在を知っていたのであれば、
既に証明された通り、単独で奴に挑んだ時に勝てる見込みが無いかもしれない様な存在をわざわざ創り出そうとするだろうか、という事である。初めてチョコボ達が生み出した召喚獣であるデブチョコボがそうであるならともかく、である。
これより、メネ達は元々非の打ち所が無い実力を兼ね備えた召喚獣であったと考えられる。この時、そんな彼等が自分からオズマに独りで挑んで勝てない状態になっている事のメリットは無いものと思われるので、何か別の理由があってしょうがなく現在はそう甘んじていると考えられるだろう。
では、一体何者によってそうさせられているのだろうか。例えばテラの人物であったり、例えばオズマであったりを考えてみれば勿論だが、幾ら更なる正体不明の組織や存在がこれ以上白日の下に曝される事になったとしても、考えるに本当に隙という隙が考えられないその召喚獣に対し、そんな芸当が果たして可能なのだろうか、という疑問はどうしても拭えない。
しかし、一つ考えられる可能性はある。それは、誰あろうその召喚獣を生み出したチョコボ達がそうしている、というものである。その場合、何故完全無欠の召喚獣を創造する事に成功していながらにして、自ずからデメリットばかりだと考えられる方向へ動いたのか、という謎が発生する事になるが、そこはこう考えられはしないだろうか。古来より人間にいいように使われてきた事による不満が今爆発したのである。この復讐劇、ただ単に人間を一掃する事によって終わらせてはいけないのではない、と考えたのではないだろうか。つまり、じっくりジワジワと、その始終の計画等も練りつつゆっくりと進め、今までの自分達と同様にして、長きに亘り苦痛を味わわせでもしなければ、収まりのつくものではなかったのだ。つまり、別々に分かれたそれぞれの個体も強力ながら、人間が一致団結して決起したとすれば、一体ずつを相手にした場合に限れば勝ち目が見える様な穴を用意しておく事で戦いを一気に押し切るのではなく、押しつ押されつ、否、ゆっくりと徐々に押しつの長い苦しみを与えようとしていたのであり、かつ、万が一の時の為の最終手段として、融合後の完全体という形で一気に戦いに 決着を付ける手段も用意していた、という事であろう。あのチョコボ達が策したとはとても思えない程の、何とも性格の悪さが垣間見える計画ではあるが。
これにより、召喚獣を分断していたのは他ならぬそれを生み出したチョコボ達であるという事が判明した。となると、上では「メネ達は元々非の打ち所が無い実力を兼ね備えた召喚獣であったと考えられる」とは書いたものの、それとは別にもう一つ、「いずれ一つとなる事を見据えた上で、最初は別々に生み出された」という考え方も出来るだろう。
これがどちらであるか、という事を突き詰める事に意味は殆ど無いのだが、一応次の問題を解決する事によりこちらの答えも見えてくるので、一先ず次の問題へ進むとしよう。

さて、メネ達が生まれたその時からお互いに認識を持っていたのか、もしくはそうではなかったのか、という事である。これについてはまず、もし彼等が最初からお互いを知っていたとして、「メネΩ」の流れに沿って考えてみよう。
注目したいのは、メネがヴァイス・マジックヴァイス盗賊団のボスへ上り詰めようとした動機である。この部分に関して、「メネΩ」から以下の文章を引用した。

実はメネはこの時点で、最終目的の達成には欠かせない、世界中の情報を、自らは殆ど動く事の無いまま手に入れる事が出来る状況を作るための準備として多額の資金を必要としていたのであり、その為に盗賊団のボスとなって、その資金を稼ごうとしていたのだ。

そう。メネは「世界中の情報を、自らは殆ど動く事の無いまま手に入れる事が出来る状況を作るため」に、わざわざ貧弱極まりないヴァイス共の頂点に立とうとしていたのである。
しかし考えて欲しい。メネが欲していたのは世界中の情報であるが、もし彼が他のモーグリ達とその時点で既に関わり合っていたのであれば、とっくにそれは手に入っているのではないだろうか。
その鍵となるのがモグタローである。最早反復する事でもないが、彼にはガイア中の人々が首を縦に振るであろう程の希少価値が高いアイテムに関しての知識も完全に網羅している。しかも分身を複数作り出す能力を備えているのか、別地点で同時に発生したヘルプ依頼に対しても難無く対応している。しかも今しがた変更した装備に関するヘルプも即座に変更させているのだ。彼さえいるのなら、世界情勢の把握は恐らく容易と言ってもいいだろう。彼の情報収集能力と比べてしまえば、ガイア中をも網羅し切り、あわよくばテラにまでその繋がりを広げんとしたあのモグネットでさえも全く歯が立たないのだ。
つまり、メネの傍らにモグタローがいる限り、彼に盗賊団を存続させている事の意味は全く無かったのである。勿論、単にお金を稼ぐ為にボスになる事等に意義を感じられる筈もなかろう。そして、必要な事に対しては異常な程慎重になるが、無駄な事に関しては即座に斬り捨てる彼の事である。もしそんな状況だったなら、本当に即見切りを付けたであろう。そこにいる事は本当に無駄の塊なのだから。
又、もしそうなったとすれば、「メネΩ」で証明した「メネとアルテミシオンとの癒着」の事実が起こり得なくなってしまい、そこに矛盾が生じてしまう事になってしまう。

よって、メネ達が誕生した当初から、お互いに存在を認識し合っていたとは考えられないのだ。と言う事は、彼等は誕生した後でそれぞれ出会ったという事になる。
そしてそうであれば、先の「メネ達は元々非の打ち所が無い実力を兼ね備えた召喚獣」という考え方と、「いずれ一つとなる事を見据えた上で、最初は別々に生み出された」という考え方のどちらが正しいのかという謎に対して、後者の方が正しいという結論が導き出される。

さて、そこで次は彼等の出会いに関して考えてみたい所だが、その前にもう一つ考えなければならない事があるので先にそれに触れよう。
メネの出生の秘密に関して「メネΩ」では、メネが生まれて間も無く捨てられたというくだりがあった。しかし、メネが召喚獣である事が明らかになった今、その上で全く同様の事が果たして言えるだろうか。それを考えてみなければならないのだ。
やはりここで参考となるのは、「モーグリに扮していた召喚獣」という唯一の実例であるモグであろう。果たしてモグはどの様にして生まれてきたのか、という事だ。
モグに関しては、エーコと同じ日に生まれた、という事実がマダイン・サリにいる周囲のモーグリの話によって確認出来るが、ここで重要なのは、周囲のモーグリ達、つまりモコ、モチャ、チモモ、モーネル、モリスンは、モグが召喚獣であるという事を知っていたのか、という点である。

もしも彼等が、エーコとモグが同じ日に生まれた事どころかエーコの方が先に誕生したという事実すら語っている彼等が、モグの正体が実は召喚獣マディーンであるという事を知らないのであれば、モグは何の変哲も無く普通に生まれてきた風に見えたという事であり、つまりメネやモグオやモグタロー、モグジローについても、その実力云々という異常が認められるまでは何ら他のモーグリ達と変わり無く生まれてきて尚且つ生活してきたという事が言えるのであり、メネが捨てられたくだりに関して考え直すべき点は特に存在しない事になる。
この場合、普通のモーグリ夫婦から突然召喚獣が生まれてくるという事は流石に考え難い為、本来なら何の異常も無く生まれ、育っていく筈だったモーグリの身体を、召喚獣という実態を持たない存在が媒体とした、悪く言えば乗っ取ったという事になるだろうか。そうだとすれば、本当だったら「モ何たら」とかいう名前を付けられて平穏無事に暮らしていたであろう今ではメネという名の元モーグリやらの事を考えると、そのモーグリの悲運さを哀れまずにはいられない。

ちなみに、マディーンがモーグリを媒体としたのは、常にエーコの傍にいて彼女を護るという役目からすれば当然だと考えられるが、一方メネ達がモーグリを媒体としたのは何故だろうかと考えた時に、
私はそれもやはりチョコボ達の思惑であったのではないかと考えるのだ。つまり、チョコボ達は一気に行動に出て人間共に復讐するのではなく、策略を練る期間を含めゆっくりと計画を実行していこうとしていたのだから、少なくともその計画を練っている間に召喚獣達が人間の目に触れない様に、との配慮だったと考えられる。また、モーグリの姿であれば人間の世界に潜り込む事も容易である為、内部事情をよりよく知るべく、或いは来るべき時に内部からでも反乱を起こせ得る様に、という考えがあったとも考えられるだろう。

では一方、マダイン・サリのモーグリ達が、モグの正体は召喚獣であるという事を実は知っていながら、エーコの為にと彼女には、そして勿論外部の人間にも隠していたとすればどうだろうか。
つまりこの場合は、言うなれば突然空から降ってきた、青天の霹靂的な感じか、もしくはさっきと同様に、元々普通に生まれてくる筈だったモーグリの身体を媒体とした可能性、この二つが考えられる。姿形こそモーグリだとはいえ凶悪な程の力を秘めている召喚獣とあっては、ほぼ「メネΩ」と同様の理由で捨ててしまう行動に出る事も理解は出来るだろう。それが例え後者、つまり実の両親がいたという状況だったとしても、誰もメネを捨てたモーグリ達を責められはしない。
幾らメネがそれらモーグリ達を敵視する事は無かろうが、である。
ただし、周りのモーグリがそのモーグリの形をした存在の正体を知っていたという事で、話は少々違ってくる。先に、メネ達がモーグリの姿に身をやつしているのは(こちらのパターンではまだ各々の召喚獣がモーグリの身体を媒体とした、とは断定出来ない。モグに関しても同様である)、機が訪れるまでその正体を隠す為にとのチョコボ達の思惑であったと書いた。それが、こちらのパターンでも当てはまる事になるだろう。
つまりだ。別にモーグリを仲間に引き入れて共に人間に一矢報いようと思っている訳ではない以上、チョコボ達にとっては、モグネットという情報伝達網でもって人間共にまで多くの情報を与えかねないモーグリ達にも、メネが召喚獣である事を知られてはならないので、彼等がわざわざモーグリの集落という場所でメネを誕生させる事にしようと考えたとは思えないのだ。
よってこちらのパターンでは、メネ達やモグは、本来普通に生まれてくる筈だったモーグリの身体を媒体とするという、どうしてもリスクの付きまとう方法を取ったのではなく、純粋にモーグリの姿になって正体を隠していたという事であり、メネの生誕に関しては、元よりリンドブルム領近辺で孤独に生まれ、直接ヴァイス・マジックヴァイス盗賊団に目を付けられたと考えられるのではないだろうか。
更に、この事を考えると、以下の事が分かってくる。
モーグリ共にも、メネ達が召喚獣である事を知られてはならない訳だが、どうしてか、モグオとモグタローは、特にモグタローに関しては広く人々と関わっていて、モーグリ共とも多く接している。何故か。そんなにも頻繁に関わりを持っていて、正体がバレる危険性は無いのだろうか。
話は簡単だ。確かにモーグリには、いつかエーコが言っていた様に、妖精の一種であるというその特殊な生態上、明らかに異常な雰囲気をいち早く察知する性質を持っているのかもしれない。しかし実は、召喚獣の有する特殊な気配(そんなものが存在するのかどうかは不明だが)を察知する事は、単純に出来なかったのだと思われる。ゲーム中ではメネがオズマのただならぬ気配を察してはいるが、メネ自身が召喚獣である以前に、彼はオズマと対峙したどころか一戦交えてすらいる為、その言葉には何ら信憑性を感じ得ないだろう。
モーグリがその様な性質を持っていなかったからこそ、このパターンの仮定では、「誕生した瞬間に立ち会っていたり、生後間もない状況で触れ合っていれば」それが召喚獣である事を、半ば自然に知る事が出来る、という前提で話を進めているのだ。

さて、誰あろう私自身が事の全容を把握出来なくなりつつあるので、ここで一旦整理する。
ここでは、マダイン・サリにいるモグ以外のモーグリ達が、モグが召喚獣である事を知っていたか、知らなかったか、という二つの場合について、それぞれにおけるメネの生まれた状況等を語った。
その「生まれた状況等」に関しては、普通に両親を持って生まれてきた普通のモーグリを媒体とした説と、単にモーグリの姿に扮して一人孤独に生まれてきた説があった。
全体を振り返ってみると、「モグが召喚獣である事を知らなかったパターン」において、「メネが孤独に生まれてきた説」は取り扱われていないが、メネが世界征服を目論んでいる訳ではなくなった以上、必ずしもメネが両親に捨てられたというエピソードは必要不可欠なものではなくなったので、このパターンにおいてこの説を唱えても何ら問題は無い事と思われる。
次に、後者のパターンにおいては、「実はモーグリ達は、召喚獣の有する特殊な気配を感じ取る能力は持っていなかった」とあるが、これについて前者のパターンを考えてみると、最初から「モグが召喚獣である事を知らなかった」と述べているので、当然これも当てはまる事になる。
つまり要約すると、マダイン・サリのモーグリ達が、モグの正体を知らなかったならば、メネは普通のモーグリの身体を媒体として捨てられた場合と、リンドブルム領近辺で孤独に生まれた場合のどちらであっても矛盾は生じず、もしも知っていたならば、後者であると断定出来る事になり、また、知っていたかどうかのどちらを問わず、モーグリは召喚獣の気配を察する事が出来ない、という点は共通して言える、という事である。
問題は、果たしてマダイン・サリのモーグリ達がその真実を知る所にあったのかどうか、という事だが、これに関しては残念ながら断定出来る証拠が無い。是非とも彼等自身に聞いてみたいところではあるが。


では、話を戻し、彼等の出会いについて考えてみよう。
「メネΩ」では、メネとモグオの出会いについて書かれたくだりがあった。
そのメネとモグオの二人の出会いについて語るには、まず彼等が自分の事を「いずれ他のモーグリと融合する存在だ」と認識しているのかどうかがまず問われるのだが、それに関しては、ゲーム中でのモグの事を思い出して欲しい。かのモグは、自身がエーコを護る為に生まれてきた存在である事をしっかりと認識していた。よって同様にメネ達も、自身がいずれは他の者と融合するべき時が来る事をはっきりと感じていたのである。
お互いがお互いの事を確信を伴って認識していたのであれば、メネとモグオの二人が出会った時に意気投合し、心を許せる存在となったのは至極当然の事であったと言える。「メネΩ」では、メネがモグオの境遇を憐れみ、親近感を抱いたとあるが、そんなものはそこには存在していなかったであろう。彼等はもっと深い所で繋がり合っている存在なのだから。もしかすれば彼等は、例えばメネは、「いずれモグオと融合する日が来る」といった感じに、相手の名前も予め知っていた可能性はあるが、そうであればそうであっただけで、意気投合するまでの会話等が異なる他は、それに至るまでの時間がやや短縮化する位しか変化という変化は無いと思われるので、それがどちらであっても特に問題は無いだろう。
尚、時期的には「メネΩ」に書かれていた通りで間違い無いと思われる。

では、その二人と、モグタロー、及びモグジローの二人との出会いはいつの事だったと考えられるだろうか。
上述する所に寄れば、元々メネとモグタローが見知り合っていたなら勿論だが、幾ら最初は知らなかったとしても、早くに出会っていたとすれば、やはり「盗賊団のボスに上り詰める意義」の点で矛盾が生じる事になるので、少なくともメネがアルテミシオンを堕とした後の話であると確認出来る。
ならば具体的にはいつの事であると言えるだろう。

それについては、以下の事より非常に重要なとある事実が伺える。
アルテミシオンが隠し事を苦手としているらしいと以前に触れた。では、メネ自身はその事を知っていたのか、と考えると、恐らく知っていたと思っていいだろう。何故ならば、相手はあの隠し事が苦手なアルテミシオンである。別段その事を隠そうと思っていた訳でも無かろうし、又相手がメネとあっては、およそ見破られていたとみていいだろうという事だ。そしてそれはメネにとってみれば、計画を進める上で爆弾を一つ抱えている事に他ならない。つまり、世界中の情報を得、ガイア中の人間共の動向を把握しようとする上で、メネがモグタローの事を認識する様になった時、明らかにモグタローに比べて情報収集面で劣るアルテミシオンは最早用無しである為、メネは即座にアルテミシオンを切り捨てると考えられる。
次に、アルテミシオンがスティルツキンから差し出された手紙を、メネの判断によって未配達にした事は「メネΩ」で証明した通りだ。
更に、そのスティルツキンがその未配達に終わってしまった手紙を差し出したのは、実際のゲーム中における序盤のアレクサンドリア城下内尖塔にてその始まりを見る事が出来る一連の旅の道中の事であるのは言うまでも無い事実であろう。
これより言える事。それは、スティルツキンが旅に出たFF9開始直後の時点では、まだメネとモグタローはお互いを知らなかった、という事だ。この事より、各妄想において明らかになった事実達とそれが起こった時間軸、及びその時間軸がどの様にFF9というゲームの時期と関わっているのか、今まで判然としていなかったものが一気に詳細に想像し得る状態になった事になる。

そこでいよいよ、前回の「メネΩ」においても全体の中核を担っていた部分である、計画の推移に伴う具体的なメネ達の行動について考えたい所だが、まだ肝心の「如何なる状況でメネとモグタローが出会ったか」について詳しく触れていなかったので、先にそれを考察する事にする。
どの様にして両者が出会ったのかを考えると、モグオとの出会いと同様にメネはモグタローともすぐに意気投合する事が予想される事と、更にヘルプメニュー請負人であるモグタローの神出鬼没さからすれば、どちらかと言えば何故これまで出会わなかったのか、という方が疑問になりそうなものだが、それはこう考えられる。
自身がそれまでヘルプを参照しなかった事については、誰からも「ヘルプ」というガイアの仕組みを教えられていなかった事が考えられないだろうか。ジタンだって、それを知らなければ全くセレクトボタンになんか手を伸ばそうとする事等ないままに日を重ねていった可能性は恐らく大きかったと思っていいだろう。それが、生まれてすぐに捨てられた事で誰一人と教えてくれる人がいなかったメネにとってすればそれは尚更である。
否、「誰一人教えてくれる人がいなかった」というのはやや言い過ぎで、実際にはメネの周りには、ガイアの社会の表と裏の事等、彼等自身が独自に知り得る特殊な事柄についてメネに教育したであろう盗賊団の面々がいる。それなのにも拘らずメネが、アルテミシオンという欠陥だらけの情報収集屋を買収し、更にはゲームFF9がスタートする時期を過ぎるまでモグタローと出会わなかったのはつまり、モンスターに関してまでヘルプメニューの範疇には無い、という事なのだろう。それもそうだろうか。そもそも、幾らモンスターの中には、人間を襲うという点を除けば、集落を持ち、家族なりを持つという普通の生活を営んでいる種がいるかもしれなかろうが、どう考えても自身にメリットが発生する訳ではないのだから、わざわざそれらにまで手を貸す必要は無いだろう。ともかく、メネには「ヘルプ」の仕組みを知る機会が無かったが故、中々モグタローと出会わなかったと考えられるのだ。
とは言え、疑問はまだ残る。モグオにはそれが当てはまらないからだ。
メネとは違い、モグオは世界中を駆け回っており、又、外部のモーグリと接触する機会がある。更には、片やフィールド上のセーブモーグリ、片やヘルプメニュー請負人と、モーグリ界の中において唯一モグオにしか、そしてモグタローにしか出来ない大役を任せられているという共通点がある事で、何かと二大超人としてセットで話題になる事が多かったであろう彼等の事である。まずは「ヘルプ」についての事を知ってからモグタローと、という訳ではなく、二人は直接お互いを知っていたものと考えられるのだ。
しかし、もしもモグオが、モグタローの事をメネと同じくした召喚獣であると気付いたのであれば、その情報は即座にメネの元へ届く筈である。なのにそうはならなかった。これはつまりメネ達は、生まれ落ちた時から別々の個体として存在し、「いずれは同士と融合する日が来る」事は認識していたが、その融合する対象の名前までは知らなかった、という事を示している。同時に、メネが人身掌握術を始めとした人を見る才を持っていて、だからこそモグオの正体が実は召喚獣であるという事に気付けたという事実がある分、その対となっているモグオ当人は、あまり人を見る目が無かったのだと考えられ、だからこそモグタローの正体を見破れなかったと考えられる。勿論これはモグオの人を見る目が無いという点が唯一悪い訳ではなく、メネ達は用心深く自身の正体を隠している必要があり、普通は絶対に見破れる筈は無いので、単にメネのそれが異常な程敏感だっただけなのだ。モグオに非は無い。人を見る目が無いのは事実であるが。同様にモグタローにも非は無い。恐らくモグタローのそれはモグオとは違って、一般レベルのものだろうが。
ちなみに、モグタローの正体を抜きにして「ヘルプ」という概念の事をモグオがメネに伝えていたとすれば、そんなにも抜きん出ているスピードの持ち主の事を気にかけない筈の無いメネが、勿論自分が盗賊団と関わっている事を知られる訳にはいかないので何処か別の場所でモグタローを呼び寄せ、出会っていた可能性が浮上する。それでは勿論出会う時期的に矛盾が発生してしまうので、つまりモグオはメネにその事すら伝えなかったという事である。あの冷静沈着なメネならば、「ヘルプ」等必要も無いとモグオは思ったのだろうか。同時に、自分を上回りかねないスピードを持っているモグタローを見て尚、「もしかしたら彼は…」との疑念すら持たない程に、彼は人を見る目が無かったという事が言えるのかもしれない。こうもなると半ば深刻にも思えてくるが、只々殴り続けるしか能が無い(かもしれない)バトルでの光景を合わせて想像すると、それも自然な事に思えてくるのだから仕方が無い事である。
という事で以上より、しかるべき時期までメネとモグタローが何故出会わなかったのかという謎が解けた。そこでいよいよ、二人がどの様にして鉢合わせる事になったのか、それに触れよう。
メネの行動パターンからすれば、このままの状況ではいつまで経ってもモグタローと出会う事は恐らく無い。外部で何らかの変化が無ければ、二人が出会う切っ掛けはまず生まれないのだ。
さてここで、前回の「メネΩ」の事を思い返してみると、「全く接点の無かった両者が、とある事を切っ掛けに出会う事となった」という、今回のメネとモグタローの両者におけるものと全く同じ構図で出会いを果たした者達が存在していた事が分かる。
その者達とは、メネとチョコの事である。「メネΩ」を参照するとメネとチョコは、まずメネの元にアルテミシオンが届けたお手紙に、群れからはぐれたらしいチョコボがいる事が書いてあり、それを元に、メネが利用してやらんとチョコの所へ向かい、そして出会った、とある。ちなみに、この展開は「チョコボ起源説」においては後々否定される事となるが、今は単に参照の為に用いているという事をご理解戴きたい。
これによれば、二人が出会う切っ掛けとなったのはモグネットである。これと同じ事が、メネとモグタローの場合において言えるのではないだろうかと考えるのだ。
では、何故モグタローの事がモーグリ達の話題に上ったのだろうか。簡単な話である。何度どれだけ考えても人知を逸している彼のスピードの事を思えば、「こんな凄いモーグリがいる」とかいう話であれば勿論引き合いに出されるだろうし、恐らく既にモーグリ達の間では完全にその名前が定着しているであろう現在においても、モグタロー云々という話題は定期的に上っていたと考えられる。勿論同時にモグオの話が出た事も度々だったであろう。
その話がメネの耳に入れば後の話は早いというものである。早速とばかりにヘルプ機能を用いてモグタローを呼び寄せ、お互いを召喚獣であると認識し、計画遂行の決意を共に新たにしたのだった。


そしてここから、メネ達がどの様に計画を遂行していったのかという最も重要な部分に入る事になる。最初に言っておこう。「メネΩ」で語った内容とは明らかに異なる部分が大半を占めている。改めて言うが、あまり「メネΩ」での事を引きずらない様にして読んだ方がいいだろう。


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