では最後に、証拠が無い為に事実としては確認出来ない点について、及び今後の展開についてを考察したいと思う。

モグジローについてだが、今回、多くの新たな真実が白日の下にさらされる事になったにも拘らず、結局彼の正体については分からず終いとなってしまった。
モグタローや、メネ、モグオ、そしてモグの四者が、伝承のみに寄って誕生したのであれば、彼等に親はいないという事になり、召喚獣の兄に普通のモーグリの弟、という状況は考えられなくなるので、モグジローもテラの民の伝承が生み出した召喚獣であると考えていいだろう。
しかしモグタロー等四者には「元々普通だったモーグリの身体を媒体としている」可能性が考えられているので、その場合ならモグタローには親が存在するという事になり、彼に普通のモーグリの弟がいても全く不思議ではなくなってしまうのだ。
これについては残念だが如何とも断定し難い。勿論、今後何らかの新たなる事実が明らかになる事によって断定されていく可能性が無いとは言えないが。
ただし、もしモグジローが召喚獣であったとして、その兄のモグタローがメネの敵側にいる事を理由に、彼もチョコボ達にとって味方、並びに人間達にとっても敵の敵という形で味方であるというこの現状を単純に楽観視してはいけない。
それは何故か。それについてはまずモグジローの実力面を考えたい所だ。
メネが、大きな魔力を持っていながらにして知恵面でも優れている事や、モグタローが、他の追随を許さぬ知識を有していながらにして瞬間移動が出来、又、テラの民が生み出した召喚獣であるという事は少なからずガイアの生物達を脅かす戦闘能力も持ち合わせているであろう事を考えよう。となるとモグジローは、モグタローと同様まず少なくともある程度の戦闘能力を持っているという事になる。更に、知識は殆ど無いに等しいと思われる事はゲーム中で確認出来る彼の言動から明らかであり、又その雰囲気からすれば、判断能力面にも欠けている部分があると考えていいであろう。
ここが曲者である。そもそも彼が召喚獣であるかどうかすら判然としないので何とも確かな事は言えないのだが、もしも戦闘能力以外にこれといった特徴が無いのであれば、その分戦闘能力に長けているという事が言えるのかもしれないのだ。
しかもである。言葉の端々からまだまだ幼いという事を感じ取れるのだ。判断能力がまだ無く「戦闘能力に長けていてそれ以外にこれといった特徴の無い」召喚獣である。もしかしたら「判断能力があまり無い」という特徴を元々持って生まれて来た、即ち伝承の時点からそうである事が織り込まれていたのかもしれないのだが、それがどうであれ、これはかなりの危険分子を持った存在であると言えるだろう。一応味方である事は確かなのだが。

次に、モグタローがヘルプ依頼の際には実際に現場に駆けつけている事は始めの方で証明されたが、それに関して、ゲーム序盤のプリゾンケージ戦でジタンのトランスシーンを見ている可能性があるにも拘らず、その後のモグタローの話で彼が「まだ見たことはない」と言っている謎について。これについては先のモグタローに関する謎よりも一層掴み所が無く、その理由を推測する事が出来ない。
トランスを直接目にした事が無いという点は、トランス可能な「エラバレシモノ」の条件を満たす者が非常に少ない事と、彼が生まれてからまだ数年〜十年程しか経っていない事を考えれば納得は出来るのだが…
あまりにも他愛無い事であるだけに、それを隠蔽した裏には何か重大な事由があるのではとの邪推も出来るが、如何せん証拠も何一つ無いので、現段階でこの謎を解くのは断念せざるを得ないだろう。


最後は、いよいよもってメネが世界征服計画に乗り出さんとしたその後の展開について。
「メネΩ」の時点においては、魔力に長けるメネと力に長けるモグオとが共に行動する様になった事で、最早彼等に敵はいないものと考えられていた。ガイアに生きる者達に残されている可能性はと言えば、デブチョコボやスティルツキンやジタン達に寄るという、メネとモグオの凶悪さからすれば何とも頼り無いと表現せざるを得ないものしかなかった筈だったのだ。
しかし今回、その「残されている可能性」の内の一つ、デブチョコボがメネの大敵となり得る事が判明した。更に、やはり敵として立ちはだかると思われるモグタローの存在も浮上した。
一方でメネ側の状況には何ら変わりが無い。つまり、戦況はメネ側一辺倒であったものが、かなり逆へ傾いたと考えられるのだ。
しかし注意しなければならないのは、例え戦況が人間側へ傾いたと言えるとしても、やはり互いの実力を見事に補完し合っているメネとモグオの力を侮ってはならないという事である。彼等二人はオズマにこそ勝てないかもしれないものの、相手がそのオズマの様に強力かつ遠方を浮遊している存在で無い限り、勝算は現状をもってしてもメネ達に大きくあるものなのだ。勿論、たかが人間如きにだって十分に倒せ得るとはいえオズマがメネ側に付いている事も大きいといえる。メネの計画が完遂される危機というものは全くもって無くなって等いないのである。

ところが、確かにまだ戦況はメネ側にあると言えるのだが、その状況をして、「ある条件」が整うと戦局が一気に人間側へ傾きかねないという爆弾をメネ達は抱えている。
「ある条件」、それは「単独行動」である。
メネとモグオは両者が揃っていればこそ、正しく誰一人として太刀打ちの敵わない存在となるが、一度単独で戦うとなると、メネにはHP量が少ないという、そしてモグオには単体攻撃しか出来ないという穴を露呈する事になってしまうのだ。
そこに、デブチョコボがメネの天敵である事実や、今回の妄想の冒頭で述べられたイベントが重なるとすれば…そうなのである。

今、計画を断行させようとしているメネに、非力な人間達を始めとするガイアの者達が勝ち得る可能性、それはまず、どうにかしてメネとモグオを単独で行動させなければ始まらない。
自身の持つ欠点まで十分に認識しているメネがそれを易々とさせる訳は無いのだが、もしも、万が一それを可能にしたならば機は訪れる。
まず、モグオとモグタローが合い見えるだろう。一対一の対決であるならば、単体攻撃しか能の無いモグオが最も効果的に力を発揮出来る事となり、まともに戦ってモグタローが勝つ事は出来ないだろうと思われる。思われるのだが、そこでかのギルガメッシュ伝説が再現されるとすれば…? その時、冒頭の光景が本当に起こるかもしれないのだ。
もしもそうなったとしたなら、残るはメネである。これの打倒に乗り出すのが、勿論デブチョコボとなるだろう。
ただし、モグオを失ったメネにはまだオズマという存在がいる事を忘れてはならない。確かにデブチョコボはメネの大敵たり得るのだが、それはあくまでも「そうなる可能性が大きい」だけであり、確実に言える事ではないのだ。つまり、そのメネと同時にオズマを相手にするとなると、即ち二対一の攻防となると、例えメネの天敵であり、オズマに勝てるデブチョコボだとしても、非常に厳しい戦いを余儀無くされてしまうのである。恐らく敗戦濃厚なのではないだろうか。
そこで、その状況を打破し、最終的に勝利を収める為にデブチョコボと共に戦う者達として浮上するのが、かつて憎悪の念を募らせた人間達である。ジタン達ならばオズマを十分に倒せ得るので、全体攻撃が可能であるメネの魔法がある為に必ずしも苦戦を強いられないとは言えないのだが、共に戦う事によって、あれだけ薄かった可能性が初めて現実味を帯びてくるのではないだろうか。
先に述べた通り、チョコボ達の抱いていた人間への憎悪は既に無くなっている為、何らかの切っ掛けさえあれば両者は完全に元々の関係へと戻るであろう事から、話は飛躍してしまうもののこの戦いに勝利したとすれば、苦難を共に乗り越えた事でこれから先、霧も存在しないガイアで共存していくのだろう。

しかし、繰り返すが、あの極めて頭の切れるメネの一つ上を行き、共に行動しているメネとモグオを一時的にでも引き離さなければこの展開は望めない。首尾良く望める状況まで持っていけたとしても、それがそのまま勝利に繋がりはしないのだ。
そして、もしもその「打倒メネ計画」に一点でも濁りがあったならば、愛らしい姿をした悪魔に支配される時代がすぐにでもやって来るのである。

力、知恵、知識、野望、そして絆が渦巻き創造する新たなる戦い。
その果てで笑うのは、誰か。


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