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08/10/12(日) 1日目 Legend Of Legend

クソゲー
クソゲー、糞ゲーとは、「クソゲーム」の短縮形で、
ユーザーやゲーム評論筋がコンピューターゲームを酷評する際に用いる言葉である。
(出典:Wikipedia)

という訳で、聖剣4である。あろう事か聖剣4である。バイオ4じゃなしに。MGS4じゃなしに。私が何ヶ月か振りに手に取ったゲームソフトは、2006年SQUARE-ENIX発の大人気アクションRPGシリーズ「聖剣伝説」の第4作なのであった。
私が何故、ビデオゲームの復帰作として本作を選んだのか、そこにはあなたの想像を絶するであろう経緯と苦悩、決断があった。掻い摘んで話せば昨今のドラマ系DVD-BOXへの散財(「LOST 3」「PRISON BREAK 3」「24-TWENTY FOUR 6」「4400 2」など)が響いて金銭的に苦しかったが故に安く手に入れられるゲームである必要があった事を中心に実に様々な葛藤を経た訳である。私だってもうちょっと余裕ある生活を送れていれば敢えてこんなクソ……
さて、そんな前講釈はどうでもいいので始める事とする。

電源投入。いきなりプロローグらしき語りから入ったが、聖剣でボイスというのにまずちょっと違和感を感じた。それもそうか。私にとっての聖剣伝説は1999年のLegend Of Manaで止まっていた訳で、あまつさえナンバリングタイトルに限ればこの前作に当たるのは10年も前に発売されたソフトなんだものなあ。
で、流石に10年も経つと時代の趣というものも変わってくるもので、前作まではただただ切って必殺技を繰り出していただけのバトルシステムが装いも新たに私の前に立ちはだかった。
「立ちはだかった」 およそゲームのバトルシステムに対して用いる表現ではないもののようだが、しかしこれが言いえて妙で、そのシステムは本当の意味で私の前に壁として「立ちはだかった」のであった。とどのつまり、操作が複雑で分かり難い。幾つも覚えなきゃならない事があって一通り慣れるまでに相当の時間がかかる。こういった独自の操作システムを持つアクションゲームには付き物のチュートリアル的ステージも一応用意されてはいたが、次々と詰め込み教育であるかに並べ立てられる戦闘ノウハウを前にして、そこをクリアした私が得たもの、それはひとまず一人前の戦いが出来るだけの腕ではなく、今後のプレイに対する漠然とした不安ただそれだけ。私はそこに、聖剣伝説4がここまで酷評される理由の一端を見た気がした。
序章が終わると、イベントもそこそこに、更に精霊達の「エルディ達はどこそこへ忍び込んだ」的語りを挟んで次のステージが開始された。まさかとは思うが、今作はステージ間のお話は全部イベントと語り部の語りで進行して、操作するのはアクション画面だけって事になっているのだろうか。私はそこに、聖剣伝説4がここまで酷評される理由の一端を見た気がした。
続く第一章では、ザコ敵とも中ボスとも取れない微妙な敵を相手にゲームオーバーを喫す。まだボスも出てきてないのに。私はここに、聖剣伝説4がここまで酷評される理由の一端を見るより前に己のアクションゲームセンスの無さを見た。
その後、初ボスのタナトスハガーを辛くも初見で沈め、第二章に入った所で本日は終了。

かねてから「聖剣伝説4は酷い」と言われ、「聖剣伝説4とか知らない」とまで言われてきた本作だった訳だが、そうまで言われる理由はプレイ一日目にして何となく分かった気がする。もっとも個人的にはそこまで酷いとも思わないけれど。いやでもこれを「聖剣伝説シリーズ」として括るのに抵抗感を感じないかと言ったらやっぱりそうではないかもしれない。
アクション面では、自分の腕の無さも祟って今後前編にわたって苦労を強いられる羽目になるだろう事は分かっているので、聖剣4にはシナリオ面で大きく期待したいなあと思っている。あのプロローグなんてのは過去シリーズのファンとしては興味を引かれる内容を思わせるじゃないか。ボイスだって悪くはないぞ。むしろ合格点だと言える。
だがしかし! それは決して二日目のプレイが早々に敢行される事を保証する言葉ではないとここに述べておこう。次回プレイ日、未定!


進行状況:1日目



09/08/03(月) 2日目 終わりの始まり

そういう訳で遂に重い腰が上がったのが、7/22(水)のことである。実はこの日から、それまでの休日出勤によって溜まっていた代休を一気に3日分消化することになったので、私は2ヶ月半遅いゴールデンウィークを迎えていたのだ。平日、仕事を終えてからゲームをプレイする気力があまり起きなくなってしまった今、もしかしたらこれは聖剣伝説4をクリアできる最後のチャンスなのかもしれない。例え動機は、「DQ9をやりたいから」という不純なものだったとしても、とにかく湧き起こってきたこのやる気が5連休に重なってくるなんてことは、まずもって考えられない奇跡だったのでである。まあ8月にも盆休みはあるけど。でもそこにDQ9を合わせるのが理想的な展開であることを考えると、やはりこれはラストチャンス。私はこうして、9ヶ月振りに聖剣伝説4を起動させたのであった。

いやしかし、9ヶ月振りの聖剣4プレイは、実のところかなり億劫だったというのが、正直な感想である。それはこのゲームがプレイに堪えないものだからということではなくて、またあの複雑極まりない操作方法を覚え直さなくてはならなかったから。アクションゲームの才にかけては左に出る者がいないと言われる私にとって、自分はこう動きたいと思っているのに全然その通りにいかなくて周りの雑魚どもに痛めつけられ続けることほど歯痒いことはないのである。もう何というか、キーッてなる。年甲斐もなく。
とは言え、前回1章クリア後、残った時間で2章のステージ1と2を行き来しつつエルディを多少強化させた状態で終わっていたので、言うほど大変という訳でもなかった。あ、いや、本当はステージ3の半ばで1度死にそうになった。死んだんだっけ、覚えていない。嫌な思い出だったのだろう。
だがまあ、何だかんだ言ってもまだ2章だ。苦労はしたが詰まりはせずにボスのところまで辿り着いた私である。ここだ。ここでこのタナトストレントを華麗に初見撃破してくれれば、多少なりとも自信を得られるし何より今後のプレイへの弾みになる。やってやろうではないか。こういう時はまず敵の行動パターンを知るべし。しばらく奴の周りをグルグル回っていると、ほどなくフィーから口の中が弱点なのではないかという旨のメッセージを聞くことができた。こ、これは貰った!
いよいよ攻撃に転じながら、私は思い出していた。今を遡ること9ヶ月前、1章のボス、タナトスハガーに苦戦しつつも初戦で沈め、一応は安心しつつも「こんなのでこの先やっていけるのかよ」と落胆したことを。遂に今、その思いを払拭するときが来たのである。タナトスハガーよりも一回り強いこいつを倒し、何だったらちょっと余裕を見せるくらいの感じで倒し、あの時の勝ちが偶然ではなく実力であったと証明し、次の難局に挑む私の糧とするのだ。

私がこのゲームに言いようのない絶望と不安を感じたのは、それから少し経ってのことである。


進行状況:2日目



09/08/04(火) 3日目 神の思し召し

※まだ7/22(水)

3章。私のテンションは上がらない。それはタナトストレントに屈辱の一敗を喫してしまったからではなく、心のどこかで聖剣4のプレイを義務化してしまっているからではないかと思い始めた。やはり「DQ9をやるために」というのは再開の理由付けとしては最悪に近いものだったのだろう。だがもう後悔しても遅いのだ。次にまた立ち止まるということは即ち、「聖剣伝説4」が真の意味で積みゲーとなることを意味していたのだから。
言ってはみるものの、テンションは上がらないのだが、しかしこの3章、次第に操作の感覚を取り戻し始めてきたのか雑魚敵に苦戦することはあまりなく、概ね順調ではなかったかと思う。しかし3章の壁は並みいるモンスターどもとはまるで違うところにあった。遂にここに来て私の持つもう一つの弱点が顔を覗かせてしまうのであった。次にどこへ行けばいいか分からない。
迷子というものは実に人間を惨めにさせるものだが、そのことをこの歳になっても思い知らされるだなんて。私が何のために普段、ろくに遠出もせず近所のスーパーと飯屋と家とを行き来する生活を送っていると思ってるんだ。それは見知らぬ土地で右も左も分からなくなってお金も尽きもう帰れなくなりそのまま一人寂しく死んでしまうことのないようにではないか。即ち生きるためにではないか。だのに聖剣4は容赦なく私を迷わせるのであった。
奴め、本気で殺しにきていやがるな。威勢は張ってみてもやられるのは一方的に私の方である。初めの採掘跡地くらいまでは何でもなかったのだけれど、次のゴブリンの巣窟でトロッコと格闘することたっぷり30分。更にその次の石の葉の洞窟でどこが出口だか分からなくなりながら泣きそうになりながら上へ下へと走り回ること1時間。最後、ボスのワイバーンのもとへ辿り着いたときには、まあ2章からの引き続きのプレイだったこともあり、もう身も心もボロボロだった。肝心のボスはと言えば、1回の敗戦を挟みつつ、でもどう倒したらいいもんだか分からなかったからほぼ隙を見てまんまる石を撃つだけというあまりに持久戦過ぎる戦法で勝利を収めはしたが、終わってみれば章全体で3時間の長丁場であった。しかもこれはただ3時間かかったのではなく、実際には2度のゲームオーバー分だけ余計にプレイしていることを忘れてはならないのだ。
と、ここで、いよいよ底が見え始めたテンションの私にフラミー復活ムービーがお目見え。やはりスクウェア、ムービーの質は高いなあ。そしてこの曲はもしや? かねてからの聖剣ファンならお馴染み、聖剣2のフラミーのテーマ「未知への飛行」ではないか。おいおいおい、こんな分かり易い演出一つで旧ファンを喜ばせようという魂胆なのか。随分安く見られたもんだねー。

無論、一通りムービーが終わってみるといささかテンションの上がっている自分がいたのは何かの間違いである。


進行状況:3日目



09/08/05(水) 4日目 変化の胎動

※7/23(木)

4章。この辺りになってくると次第に雑魚敵にも骨のある奴が増え始めてくる。一番大変だったのはあれだ。ムチレベルが1だとムチで掴めないモンスターがゴロゴロいるということ。レベルアップのためには敵をパニック状態にさせた上で攻撃する必要のある聖剣4にあって、パニック状態を引き起こす最も効率的かつ無駄のない方法が手近な敵をムチで掴まえて他の敵にぶつけるというものであり、これまでは大抵この戦法でやってきたのだが、それを封じられたという訳だ。ただでさえ複雑な操作方法が故にプレイにかなりの制限を強いられていると言ってもいい現状に加え、更にこのような大きな制約が加わるとなるともうこれはスクエニ開発陣のプレイヤーに宛てた敵意むき出しの思惑を感じざるを得ないというものである。まあ前日に比べればややプレイへの意欲も湧き気味になってたところだったからいいものの、あれだよ? スクエニさん。昨日フラミーのムービーでもって私にまんまとやる気を起こさせてなきゃあここで投げてたかもしれないよ? 気を付けてくれないとさあ。
それはともかくこうなってくると後は周りのMONO(ステージに多数存在する可動オブジェクト)をぶつけるしか手がなくなるのだが、そうなると話は簡単ではない。何となればMONOは基本的に壊れて無くなったらそれっきりで、即ち有限の資源である。つまり後先考えないで無駄遣いし過ぎると終いには敵にぶつけるMONOがなくなっちゃうという事態に追い込まれる可能性もあるのである。経験上、実際にはそういう状況になることは少ないと思うのだが、しかしそこは限りある物をなかなか思い切って使えないケチ人間の私だ。過去何度もエンディングにまでラストエリクサーを持ち越し続けた経験を持つこのケチ人間は、本作でも次章に持って行けない精霊の魂を随分と抱えたままボスに勝っちゃったりしていたものだが、その節約対象が遂に全く貴重という訳でもないMONOにまで伝播し始めるのも最早自然の流れであったと言える。
こんなことではプレイもままならないのでとにかく一刻も早いムチレベルの上昇が望まれるようになり、ステージを先に進めることよりもできるだけマップを隅々まで回りつつ雑魚を多く倒しつつレベルアップのためのメダルを集めることの方を優先し、操作テクニックの向上も兼ねてゆっくり進めようと決めた。これが以後は基本的なプレイスタイルとして確立されていくこととなる。
さて、本章最大の問題であった「ムチで掴めない敵」もひとたびこちらのムチレベルが上がってしまえばただの雑魚である。さすがにこの頃ともなると少しは戦い方を指が覚えてきたのか、大勢に囲まれでもしない限りは優勢な状態を保ち続けられるようになってきていた。それが証拠に、さしたるピンチに陥ることなく機関室のリチアのもとにまで辿り着くことに成功。後は船を脱出するだけ。行きに比べてやや頭数が増えた感のある雑魚どもも、皆が適宜落としていってくれるまんまるドロップやぱっくんチョコを食い繋いで何とか制していく。そして程なくして甲板へ。実を言うとプレイし始めの頃は2、3、4章辺りで1章くらいはボスのいない章があってもいいんじゃないのかななんて思ったりしていたのだが、そんな私の期待も虚しく4章でもボスは現れてくれた。現時点でのラスボス候補筆頭、ストラウド様のお出ましである。
それまでの巨大ボスと違って人間サイズで機敏に動き回るストラウドは実に厄介だった。逃げても逃げても着いてくる。でも追いかけると離れたりする。正面からの攻撃は例外なく防がれるから後ろに回り込む必要があるんだろうが、攻撃時以外は常にこっちの行動に合わせて動くものだから簡単に裏もかけない。何度か奴の攻撃を避け損なってジリ貧状態でいる時に、それでも隙を見て少しずつ少しずつダメージを蓄積させていったら突然奴が3人に分裂した時には危なく戦意を喪失しかけるところであった。だがそれでも、単純攻撃しかしない分身を退け、さすがに切羽詰っていたか精霊の魂にまで手を出して最後にはお互いに後一撃で死ぬ、という状態にまで持ち込んだところで、止めの斬撃をくれてやったのは私であった。ストラウド戦初見勝利! のみならずこの章では、史上初の「ステージ道中含めゲームオーバー回数0」を達成することとなった。何という感慨。何という達成感。私はこれまでになく心地よい気分に浸りながら、再開2日目のプレイを終えたのである。

聖剣4もこれにて半分。そしてこの頃、私は一つの違和感を感じるのだった。あれ? 何かが変だ。
私がその違和感の正体に気付くのは次の章になってのことであった。


進行状況:4日目



09/08/07(金) 5日目 拭えぬ戸惑い

※7/25(土)

1日置いて5章。前回の大躍進を経て否応なくモチベーションの上がる私と軒並みタナトス化して一層強化された雑魚敵との熾烈な凌ぎ合いが見どころのチャプターとなった。だがしかし、タナトス化しようがしまいが所詮ゴブリンはゴブリン。ニードルバードはニードルバード。一部メガクロウラーとかタナトスクラン・シャドウなんていう新手の難敵もいたにはいたが、基本は過去モンスターの延長線上にいる者達であり、そんな二番煎じに今乗りに乗っている私は止められない。むしろこの章ではステージのそこかしこに散らばる流砂とか砂嵐とか風車とかの地形ギミックの方がよっぽど厄介でそっちの方に苦労したという印象が強いが、それもまた私の邁進をほんの少し足止めするのが関の山である。聖剣4プレイヤーとしては明らかに円熟期を迎えた私の前には、ステージ1の足場の悪さも、ステージ2で偶然お目にかかったレアタナトスマタンゴも、ステージ3の大掛かりな仕掛けも、またステージ4のアスレチック然とした空間やはたまた中ボス戦かのような多数の雑魚との連戦イベントですら、ただの一度もゲームオーバーを勝ち取れずに沈んでいった。そして更に、何と、ボス敵ですら今の私の前には無残にもひれ伏す。ここのボスであるタナトスレキウスは、結果として、私がこの聖剣伝説4で初めてかつ唯一「戦っている最中に全く負けるかもと思わなかったボス敵」という不名誉な称号を与えられることになったのである。哀れなりレック。主人公を差し置いてリチアに良い所を見せようなんて思うからこうなったんだ。
そういう訳で5章クリア。そしてここに来て、私は前章の終わり際に感じていた違和感の何たるかを知ることになるのだった。即ち、「聖剣伝説4は面白いのではないか」ということ。
勿論私は、これまでの5章をプレイしていて常に聖剣4を「面白い」と感じていた。例えアクションには苦労させられっ放しであったとしてもである。だが初日の日記にもあるように、個人的には面白いと思いながらも、このゲームが世間的にはいたく酷評されているという現実やその理由もまた理解しているつもりであった、今までは。しかしどうだ。ここまで5章をクリアして、段々調子が上がっていく中で、私にはそれが分からなくなっていた。何でこのゲームはこんなにも酷い言われようをしているのだろう。操作が複雑とは言うが、やってれば何だかんだで慣れるし、次にどこへ行けば分からなくなるったって、それを解く過程が楽しいんでしょうし。章ごとにレベルが初期化されるのがダルいという意見もあるが、いやいや、この手のアクション性を前面に押し出したゲームはこういうシステムを導入して、プレイヤーの熟練度の上昇を肌で感じられるようになっているから良いんじゃないか。シナリオだって悪くはない。一見さんがやるには物足りなさとかの点で多少思うところがあるかもしれないが、初期からの、その世界観をよく知る聖剣ファンならばあれやこれやと想像を掻き立てられたりしないものだろうか? そして前も言ったようにボイスは及第点。グラフィックは奇麗。音楽はそもそも評価が低くはない……考えれば考えるほど、このゲームに関われば関わるほど、私はこれまで分かっているつもりだった聖剣4不人気の理由を見失っていく。

あまりに酷い評価が先入観としてあったから、面白いとは感じていても常に一歩引いた目で見ているつもりだった聖剣4。しかし私は確かに感じていた。このゲームにはまりつつある自分がいることを。


進行状況:5日目



09/08/08(土) 6日目 非凡な日常

※7/27(月)

日曜日はプレイしなかったので、たっぷりあると思われていた5連休もこれにて終了。だが聖剣4が面白くて面白くて堪らない盛りの私は遂に決めてしまう。「平日にも少しずつでいいから進めていこう」と。無論その決断の根底には「これ以上プレイを遅らせると、お盆休みに入った直後からDQ9を始められない」という決して褒められたものではない理由もあった。しかし平日仕事を終えてからの時間の使い方についてかつて「雑文」でこのようにまで述べていた私を動かしたのは、やはり「そのゲームをプレイしたいから」という思いが極めて強かったからに他ならない。過去FFも、DQも、MGSも、異世界の迷宮ですらも動かすことができなかった平日夜中の私の重い腰を、よもや聖剣伝説4が動かそうとは。この展開を予想できた者はいるまい。何せ今日現在、私にだって信じられないのだ。

して6章。この頃になると大型モンスターも普通にエリアを闊歩していたりする。しかしその大型モンスターさえ、MONOなり周りの小型モンスターなりをぶつけてやればパニック状態に陥ってくれるので、言ってみればただちょっとタフなだけの雑魚、ただちょっと図体がでかくて通行の妨げになるだけの雑魚である。となれば、後は目に入った奴を次から次へと倒していくだけ。結局この日は1時間かそこらだったと思うが、ステージ1とステージ2のあらかたの雑魚を片付けて終わった。


※7/28(火)

そして翌日。ちょっと雑魚を集中的に倒してムチレベルが1つでも上がると、途端に雑魚戦がやり易くなってただでさえ楽しいプレイが余計楽しくなってくるものだから始末に終えない。前日は楽しさの中にもやはり「新章を迎えることのプレッシャー」や「ここでいきなり自分の手に負えないほどの難易度になってしまうのではないかという不安」がありもしたが、それすら幾分かのレベルアップで取り払われているこの日はどこまでも純粋に「プレイしたかったから」聖剣4をプレイしていた。
この日はステージ3と4を攻略。大分敵の攻撃力が上がってきたようにも感じるが、回復アイテムのドロップ率がそこそこなので瀕死の警告音を聞くまでには至らない。最近は敵が落としたアイテムをすぐ取ってしまわずにしばらく置いておいて、少し体力が減ってきたら取りに帰ってくるという回復アイテム貯蓄なんてのも覚えるようになってきた。ねえ、ただ手数を増やせばいいってもんでもないんですよ。こうして結局はより多く回復の機会を与えてることになるんだから。お分かりかな? 群がることでしか力を誇示することのできない君たちに。
ただ世の中は実に上手くできているもので、そんな風に調子付き始めた私を懲らしめる者が現れるのであった。6章ボス、仮面の導師である。まずまとっているバリアを破壊→バリアが無い状態の間に攻撃という流れはすぐに分かったのだが、バリアを張っているにもかかわらず更にそのバリアを庇うような動きをするスナイパーフェイスまでいるこの二段構え防壁のせいで本体へダメージを与えるまでに随分と時間がかかる。加えて全5階層になっている塔というステージ構成が厄介で、何かと言えば下の階へ落とされて復帰までにこれまた時間がかかる。一方向こうさんはいくらエルディが離れた位置にいようが一切お構いなしで攻撃を仕掛けてくる卑怯さ加減。そ、それが仮にも聖剣の使い手だった男のすることかっ…
言うまでもなく、時間がかかればかかるほど状況はジリ貧。戦闘開始時に持っていた天使の聖杯(倒れても一度HP&MP全快で復活)もいつの間にか無くなり、私は2章振りに死の息吹がすぐそこにまで迫っていることを感じたのであった。戦いは終盤。次第にバトルステージを塔の上層へと移し最後に辿り着いた屋上でのせめぎ合い。敵のバリアを簡単に破壊できるウンディーネやサラマンダーのパチンコ玉も尽きかけていた。なぜか中に回復アイテムがよく入っているMONO「いせきの柱」ももうない。MPも無くなった。もうあと残るのは自分のHPだけとなり、次第に「また初めからチビチビと奴のHPを削ることになるのだけは勘弁してくれー」などと弱気になったりしながら、しかし塔の屋上で力なくくずおれたのは私ではなく、仮面男だった。仮面の導師、初見撃破! 内心では「そろそろボス2連戦なんて展開もあるのでは…」と思っていたが、直後にリザルト画面が表示されて一安心。ふー。

こうして史上初の平日2日またぎの聖剣4攻略は終わった。しかしボス戦で聖杯&ステージ上に設置されている回復アイテムをほぼ全て使い切っての勝利。4、5、6章と死亡数0のクリアを連発していた私に、とうとう暗雲が立ち込めようとしていた。


進行状況:6日目



09/08/09(日) 7日目 勝者なき戦い

※7/30(木)

まだまだ平日だが負けじとプレイ。嗚呼、私は今聖剣伝説4にハマっています。ハマっているのです。
7章。私の実力の方は次第に頭打ちになっていく一方で敵は当然のように強くなっていくので、長らく優位に立っていた雑魚戦でもピンチに陥ったりするようになってきた。前章クリア時に手に入れたアイテムドロップ率上昇エンブレム「トレジャーハンター」を装備しているのにまるで敵が回復アイテムを落としてくれないことも手伝って、あろうことか4章振りにゲームオーバーになってしまう事態まで起きてしまった。「限界」 瞬間、私の脳裏にその単語がよぎったことは言うまでもない。これまで、最も好調だった4、5、6章を含め、常に「いつ限界が訪れるのか」という不安の中で戦ってきたのだ。それがもし今なのだとしたら。これがまだ前半とかならある程度諦めもついたかもしれないが、なまじクリアが目前になっているだけあってそれを避けたいという思いは強かった。というかこの時の私は、DQ9を開始するために要していた「聖剣4クリア」という免罪符を手に入れるためにただクリアを目指していたのではなく、純粋にこの先ストーリーがどう展開するのかを知りたかったから諦めたくなかったのだ。
もっとも結論から言うと、事態はそこまで深刻な訳でもなかった。HP回復手段がアイテムのみに限られる序盤の戦いを慎重に切り抜け、フィーレベルが3になって「ヒールライト」を使えるようになればそれも終わり。なぜなら回復魔法が使用可能になることで、それまでほぼ無用だったMP回復アイテムも間接的にHP回復アイテム化してくれる訳で、単純に計算してもHP回復アイテムのドロップ率が倍になってくれるからだ。
ひとまず状況が安定して安堵したが、7章の敵はまだ他にもいた。ステージ2に入るとワッツらの援軍が到着し、このまま一気呵成に進軍するぞという雰囲気で展開としては盛り上がるのだが、どうにもこの、援軍が揃いも揃って使えないのだ。見る感じでは、必死に敵に斬りかかろうとしているのは分かる。だがいかんせん非力。正直何の手助けにもなっていないと言わざるを得ない。そして大将も大将でこれまた使えない。ワッツの操縦する戦車はステージ上にある幾つかの防壁を破壊する役なのだが、ちょっと先行して雑魚を蹴散らしながら防壁の前まで辿り着き、そこで後ろから来ているはずの戦車を待ってもいつになろうと来る気配がないのだ。フィーはフィーで「ワッツを助けよう」みたいなことを言うから仕方なく今来た道を戻ってみると、倒し逃したたった1体の敵に足止めされて前へ進めなくなっていたりする。いやいやいや、あんたあの威勢はどうしたよ。つーか、一人で前へ進めないなら始めからそう言ってくれ? あんたが「お前は先に行け」とか言ったからその言葉の通りに先に行って待ってたってのに。いちいち進行方向にいる敵を排除してあげなければならないなんて、これじゃあ何だ、まるで「おもり」をしているようではないか。戦車の風格台無しだぞ。それだったらまだ、攻撃自体は役立たずでも、ムチで掴んだ敵をぶつけてパニック状態にさせられる「動くMONO」扱いとも言えるあんたの部下達の方が使えるんじゃないの。
敵は身内にあり。ワッツによって予想以上の足止めを食らった私はステージ2をクリアしたところまででその日のプレイを終えた。


※7/31(金)

翌日。ワッツの扱いにも慣れてしまえば、この日の無双っ振りは前章を思い返すよう。いや、敵の数量を考えたら前章顔負けだったかもしれない。それが証拠にこの7章では、初めてムチレベルが最大レベルの4にまで到達した。それまでムチレベルは3が最高だと思い込んでいたから驚いたものである。そしてそれ以上に、これまでムチで掴んでもまるでビクともしなかった大型モンスターが自在に掴めたり、回せたり、投げ飛ばしたりできるようになったことが驚きだった。これまでは周囲のMONO、或いは敵頼みだった大型モンスターの筆頭リュケイオスが、ああ、何とムチで掴んで後は○ボタンを連打しさえしていれば無傷で勝ててしまう。もっともさすがにそこまでせこい勝ち方はしなかったけれど。
ここで、ムチレベル、フィーレベルが共に4になった私は雑魚敵との戦いに見切りを付け、さっさとボスの所まで行くようプレイスタイルを変更した。レベル的には最高の状態。これでなおボスに負けるようなら、それはエルディの成長不足ではなく、私の技術不足によるもの。つまり、私の技術レベルさえ適正以上なら、敢えてこれ以上パラメータを伸ばさなくともボスには勝てるはずだと確信したのだ。
そして現れたボス、タナトスゴーレムジェネラル戦。ここで私は、「戦略なんてどうでもいいからとにかく今ある過去最高のHP、MPを駆使してひたすら殴りかかる」という作戦とも言えないごり押し作戦を展開した。当然のように回復魔法の乱用で見る見る減っていくMP。過去最大であったにもかかわらず過去最速と思しきペースでMPが尽きてしまったとき、ようやく私は「やっぱ力技じゃ無理だな」と悟ったのであった。
が、「ツキ」というものは恐ろしい。MPが底を尽き、更に瀕死状態になってピコンピコンと警告が鳴り響く中、もう成す術もなく奴から逃げ続けていると、私は何もしていないのに突然奴のHPが激減したのだ。どうやら偶然にもエルディがタナトスゴーレムジェネラルを上手いこと誘導し、ステージ上の何らかのトラップに奴を引っ掛けたらしい。辺りに響く悶絶したタナトスゴーレムジェネラルの声。見れば奴のHPも、これまでのごり押しが奏したか残りわずかになっている。これはもう賭けるしかない。
私は走った。とにかく走った。もう一度奴を罠にかければ恐らく勝てる。でもどういった類のギミックが動いた結果ああなったのかが分からなかったから、どこをどう動けばさっきと同じことができるのか皆目見当が付かない。私は走った。またしても偶然に、奴が同じ轍を踏んでくれることに賭けて。
そして響いたタナトスゴーレムジェネラルの声。奴は負けた、あろうことか自爆という最期で。どういう決着だったかプレイヤーには知られることのないまま、画面の外で一人寂しく散ったのであった。

これでも一応初見撃破。だがもう一度タナトスゴーレムジェネラルと戦えと言われて、次も勝てる自信は私にはない。


進行状況:7日目



09/08/10(月) 8日目 君よラスボスであれ

※7/31(金)

休日は土曜日と日曜日ではなく、金曜日の夜から日曜日の夕方前までだという意見に同意する人は多いだろう。金曜日は平日だが仕事や学校が終わってしまえば自由そのものであり、逆に日曜日は休日だが夜になるとまた明日から始まる平日の日々に気分が落ち込み、むしろ平日そのものより辛かったりするからである。だから休日とは、定義上では土曜日の午前0時から始まるものだが実際上は数時間ずれて訪れるのであり、人が最も開放的な気分になれるのも土曜日ではなく実は金曜日の夜なのだと、私はそう思うのである。
さて、7章をクリアした私はその金曜日の夜まっただ中にいた。この一週間、平日夜にちまちまと進めてきたがやはり本音を言えば休日に時間を気にせず伸び伸びとプレイしたいのであり、そのチャンスが5日振りに訪れた訳だ。しかも時間は人が最も開放的になる時。これを逃す手はない。私は、前章ボスの酷い顛末に一抹の不安を覚えながらも、返す刀で最終章の扉を開けた。
最終章。実を言うと、これを始める段階で私は「果たしてクリアできるのだろうか」という不安感をあまり抱いていなかった。それは一つには、7章を曲がりなりにも死亡数1回に抑えられた経緯から、厳しくても何度か死ねばラスボスにだって勝てるだろうと踏んでいたから。もちろんこれは「いきなり最後だけいたずらに難しくなることは多分ないであろう」という期待がまずあっての話なのだが。そしてもう一つ、「もう最後なんだから最悪これまでの章の倍以上の時間をかけて入念にレベルアップさせておけば負けないだろう」と思っていたから。繰り返すが金曜日の夜である。私はこの時点で、ステージを行き来しつつマップを切り替えつつ土曜一杯パラメータを上げ続けて、日曜日に満を持してラスボスの下へ向かうくらいでもいいのではないかぐらいに思っていた。時間があるというのは恐ろしい。もし本当にそんなことをすれば、日曜日の夜に「この貴重な休みに一体何をしていたんだ」と後悔することになるのは明らかだろうに。

ともあれそうして始まった最終決戦。だがその立ち上がり、ステージ1の初めのマップで早くも1度目のゲームオーバーを喫す。こ、これが最終章の洗礼っ……だが私は慌てない。少しやってみた感じでは無理強い、深追いさえしなければそうそうすぐ死ぬという訳でもなさそうなことが分かった。となれば必要以上に慎重にならざるを得ないのも「ヒールライト」を使えるようになるまでである。私は、苦手としているタナトスクラン系モンスターの巣窟を避け(そもそもこいつらはパラメータ上昇用メダルを落としてくれない、気がする)、より簡単に倒せるゴーレム系モンスターばかりを狙ってちまちまとしたレベル上げを敢行した。
ゴーレムを見付け、ゴーレムを倒し、あらかた掃除し終わったらマップを切り替えて再配置。そしてまたゴーレムを倒すという地味で地道な作業を1時間かそこら続けた頃だっただろうか、ようやくムチレベルとフィーレベルが3に。どうも、何となく、最終章の敵はメダルをあまり落としてくれないか、落としてくれても上昇量が1とか2とかのしょぼい物ばかりのような気がする。相手にする敵数が多い分、パラメータの上昇ペースを抑えるよう補正がかかっているのだろうか。それともそれは勘違いで、ただ自分の戦い方が下手なだけだからなのだろうか。よくは分からないが、とにかくこの分だとレベル4になるまで粘ろうとした場合相当の忍耐が必要になりそうである。ここでしばし悩んだが、まだ先も長そうだ。それに一応今のところは目立って苦戦しているという訳でもなかったので、ひとまず先の方の様子を見てみることにした。無理そうなら、また戻ってくればいいのだし。
そうしてタナトスの庭を後にし、ようやく冥王城内部へと踏み込んだ私。大広間を抜け、更に蜂の巣の間を抜けたところでセーブ。ふむ、やはり「ヒールライト」があればそれなりにやっていけるなあ。最終章にして未だ「絶望」の見えてこない状況に士気は上がる一方だった。が、「後はムチレベルが4になってくれれば、じゃあ一気にボスのところまで乗り込んでやりますか」と、大まかな攻略方針が定まったその時、事件は起こったのである。
続くステージ、タナトス大空洞でそれは起こった。初めの部屋に入るや否や、床が割れたと思ったらエルディが下へ落ちて行った。それも尋常じゃないくらい落ちて行った。一体ビルの何階に相当する高さから落ちたのだろうかというほどの光景を目の当たりにして、10か20はいただろうかという雑魚敵が次々とスルーされていくのを見て、私の中で何かが吹っ切れたのであった。「ああ、もういいや」と、そう思ったのである。
何が「もういい」のか。即ちこうだ。ここまでのステージで少しでも強くなっておくためにと律儀にほぼ全ての雑魚を相手してきたのに、ここに来てそれが覆されてしまった。随分な数のモンスターを無視することになってしまった。「全アイテムコンプリートを目指していたのにある時特定のアイテムが入手不可能になってしまっていることが判明したプレイヤーの心情」と言うと分かり易いだろうか。ある種の完全制覇欲が削がれてしまったのである。大体に、私はRPGにおけるラスト近辺のプレイがそれまでと比べてかなり雑になる傾向がそもそもあった。ラスト手前までのダンジョンでは全ての雑魚戦をきちんと戦っていたのに、ラストダンジョンになると道中のバトルからは全て逃げてラスボス一直線になるとか。それまでは常に「その時点で最強の武器防具を揃えたらその時点で次へ進む」という方針を貫いていたのに、ラストダンジョン手前の装備品がちょっとお高めとなるとすぐに「別に買わなくてもいいか」となっちゃったりするとか。それが、この「雑魚敵強制スルー」と合わさることで表出したのだ。「もういいか。もういいよね」「レベル上げしようがしまいがボスに勝っちゃえば終わるんだし」 もう道中の敵を全て無視してボスの下へ辿り着こうと決めた私は実に速く、そりゃもう、これまでの牛歩戦術っ振りは一体何だったのかと思うくらい速く、ほどなくしてそれは登場することとなった。
タナトスストラウド。聖剣4ラスボス候補の一角が満を持して最終章に再登場。実を言うと、4章時点では確かにラスボス候補筆頭であったストラウドはこの時点でそうではなくなっていたのだが、そんな実情は構わず私は祈っていた。どうかこいつが最後であってくれ。展開次第ではあり得ない話でもないだろう。だからどうかエンディングに突入してしまってくれ。
しかしその思いは、ものの1分で打ち砕かられることとなる。たった1分かそこらで、タナトスストラウドを倒せてしまったのである。とてつもない緊張感と共に始まった戦いなのに、これには面食らった。いやあ、まさかストラウドさんの周りをグルグル回りながら、相手が攻撃を外した隙に殴り付けるだけでほぼ無傷のまま勝てるとは思わなかったんです。ええ。
かつてないほど惨めに倒れたストラウド。私はこのとき思っていた。もしこいつがラスボスであってくれたら、「初見1分で倒された哀れなラスボス」と称し今後ことある毎にネタとして引き合いに出すのになあと。だが次の瞬間、見る見る巨大化しいわゆる第2形態への移行的な進化を遂げる目の前の惨めな人。ああ、あってはならないことが。これまでずっと危惧していた「セーブを挟まないボス連戦」が遂にここにきて現実のものとなってしまったのだ。
進化したタナトスストラウドは、さきほどまでの人間形態時の面影を全く残さないほど、強くなっていらっしゃった。というか、攻撃が全然通らない。私が奴に食らわせられたダメージは、戦闘開始直後いつものように気持ち良さそうに「お前を倒して」云々「私が世界の」云々と喋っている隙に与えたもののみで、その後の攻撃はことごとく弾かれてしまう。今思えばこれは、何らかの仕掛け、攻撃を通すための何らかの手順が存在することが明らかな状況なのだが、不覚にもこの時私はそのことに気付けなかった。なまじ初めに幾らかダメージを与えられていたことがめくらましになっていたか。「とにかく早くラスボスを倒して、この緊張感から解き放たれたい」と焦る気持ちが自分を冷静にさせなかったこともあったかもしれない。
ひたすら無為に切り込んで次第に悪化していく戦況。そのうち死にそうになって、バトルステージを逃げ回っていたところでようやく周囲の「夜のとう」から奴に力が流れ込んでいると気付いたときには、既にもう遅かった。タナトスストラウド戦敗北。最終章2度目のゲームオーバーであり、ボス戦に限れば実に3章のワイバーン戦以来のゲームオーバーであった。

2連戦2戦目のゲームオーバーというのは、普通なら私をしばらく気落ちさせるには十分な出来事である。だがこの時、むしろ私の士気は下がるどころか上がっていた。その理由は3つ。最後の最後でタナトスストラウドへのダメージの与え方を掴めたということ。史上初の2連戦ということは、こいつがラスボスである可能性が高まったということ。そして、2連戦とは言うものの、第1形態は苦もなく倒せるので事実上連戦扱いではないと考えられること。
ありがとうストラウド。君がヘタレでいてくれたお陰で、いよいよこのゲームのクリアが見えてきました。


進行状況:8日目



09/08/11(火) 9日目 そして伝説は始まった

※8/1(土)

遂に迎えた運命の日。私はまず、午前中一杯をレベル上げに費やそうと考えていた。現状でもタナトスストラウドに対して勝算はあったが、残り体力が少なくなってきてから奴がどう発狂したものか分からない。それに2連戦2連戦とは言っているが、これが3連戦でないという保証はどこにもない。やはりパラメータは高ければ高いほどいいのである。
だが、そんな私の計画はのっけから頓挫する。最終セーブデータの蜂の巣の間から前のフロアへ戻れない。これは正直なところ予想外だった。ステージが切り替わるときに後ろの扉が閉まるとか、「もう後には戻れませんよ」的な演出は一切なかったからだ。と言うか実際閉まり切っているという訳ではないようで、帰ろうとすると「こっちじゃない。先へ進もう」といったセリフと共に押し戻されてしまう。いやいや、あんた何勝手に私の気持ちを代弁してくれちゃってんの。こっちは戻ってレベル上げしたいんだって。あんたの為に言ってんだよ。
説得も無理そうだったので仕方なく先へ進むことにする。しかし先の経験からも分かるようにこの先は落下落下で進む一方通行のエリアばかり。ということはマップ切り替えによるこすいレベル上げができないということ。うーん、観念するしかないのか。どうしようもないので私は、それでも前日に比べればよっぽど周りの雑魚の相手をしながら、しかしムチレベルが4になることはないまま、改めてタナトスストラウドの下へ辿り着いたのであった。
タナトスストラウド再戦。第1形態は楽勝。ちょっとした操作ミスで若干ダメージを食らってしまったのも悔しいくらい。そして第2形態。戦い方さえ分かってしまえば、ことは驚くほど順調に進んだ。殴っててダメージが通らなくなったら、エリア内に4個所ある「夜のとう」の内から奴が力を得ているものを探してそれを破壊し、また本体にダメージを与えるということの繰り返し。しかも「夜のとう」破壊直後は何故だか知らんがパニック状態になってくれるというサービスチャンス付き。「俺には無限の力が流れ込んでるから無敵だ無敵だー」と思ってたのが突然絶たれちゃったもんだからちょっと慌てちゃったのかなー。ともかくストラウドのヘタレが故に、2度目の挑戦で勝利を収めることとなった。よーし倒した。これでエンディング。誰が何と言おうとこれでエンディング。だってそうでしょう。2連戦だったんだから。ほら、ストラウドさんが消えていきます。そしたらお馴染みのリザルト画面が…リザルト画面がこう……
現れなかった。まだ先はあるのであった。まあね、薄々感付いてはいましたけれどもね。だってマップを見ると奥にまだ扉があるの見えてたもん。それにさあ、ストラウド君よりよっぽどラスボスの座にふさわしい奴が、まだいるもんねえ。

今度こそ本当に最後の戦いへ、私は踏み出した。もっとも、扉をくぐったすぐ後に真のラスボス戦が待っていると思っていた私の予想に反し、次に待っていたのは雑魚敵ひしめく普通のステージだったのだが。しかしこれは私にとっては全て好都合なステージ構成だったと言える。何故ならここから更にパラメータを上げられる余地がある。そして恐らく、ラスボス前にもう一度セーブポイントが存在する可能性が高い。そして展開は、正に私の思惑通りに進んだ。続くねじれの間で遂にムチレベルが4になりこれにてラスボス戦の準備が万端に。そして次の大回廊を抜けたところでセーブポイント。この道中、これまでのストーリーで出会ってきた重要人物の声が聞こえてくるという演出も手伝い、私はここで確信していた。この後に待ち受ける者が、正真正銘のラスボスに違いないと。
冥王城最深部、こだまの間。そこにいたのはやはりリチア(アニス)。確信はより確かとなった。ここが最後だ。過去一番に緊張している私の目に、次映ったものはしかし、あまりにも意外な光景であった。

リチア「ほーら、私を捕まえてごらんなさーい」
エルディ「待てよー、こいつぅー」
リチア「ウフフウフフ」
エルディ「アハハアハハ」

あのイベントを短い言葉で表現してみるとこんな感じだが、概ねこれで間違ってはいまい。気付けば私は、今や懐かしい序章においてリチアのペットのラビ(プックだっけ)と追いかけっこをしたあの森で、今度はリチアと追いかけっこをしていた。あの時と違うのは、今リチアはやけに紫色をしているということと、追いかけている最中ことある毎にタナトスクラン・フロストアサシンやらタナトスクラン・ブラッドアサシンが行く手を遮るということ。あと、何故だかそのタナトスクランは一撃で倒すことができ、しかも気前よく回復アイテムやら各種メダルやらを落としてくれるものだからただアハハウフフしながらも割といいレベル上げができちゃうということ。初めは戸惑いっ放しだった私も、これまでのちまちまっ振りが嘘のようなメダルの大乱獲に、いつしか心躍っていたのではないかと思う。待てよう、リチアー。ウヘヘウヘヘ。
そんなことより、この展開は何だ。これがラスボス戦と言うのならこんなに斬新なラスボスもないだろうと思ったが、どうやらそうではなかったようで、一通り追いかけ回し終わるとリチアは「もっと苦しみたいのなら望み通りにしてやろう」みたいなセリフを吐いて、エルディとフィーと私を現実の世界に引き戻した。そうしていよいよ本当のラスボス、メデューサ戦の火蓋が切られるのだった。
メデューサは本体の左右に赤青のブラッドサーペント、フロストサーペントを従えている3パーツ構成。私が苦手とするタイプの敵だ。1体を相手にするだけでもいっぱいいっぱいなのに、複数のパーツがそれぞれ独立して繰り出してくる攻撃を逐次避けつつ、隙を見て攻撃なんて高等技術は私にはないからである。だが、メインパーツ1に対してサブパーツ2という構成は、同時にある事実も浮き彫りにする。それは、アクションゲームの王道を行くなら、そしてこれまでのボス戦の傾向を見るなら、恐らくこいつは「まずサブパーツを倒し、それが復活するまでの間に本体にダメージを与える」という手順で倒す相手なのだということだ。そして、そのサブパーツ2体の名前や色。これはどちらかと言えば初心者に近いプレイヤーに対して、パーツ破壊のための手段を与えているヒントの一種なのだろうと思うが、腐ってもゲーマーの私には、少し露骨な記号だったと言える。バトル開始から間もなく、私はラスボスたるメデューサの攻略法、攻略手順を正確に見極めていた。
しかしやはり、奴もラスボス。そればかりではなく初見。勝手の掴み切れていない私に聖剣4最大級の攻撃力を持つ技の数々でもって大ダメージを見舞ってくる。だが私は私で策があった。バトル序盤でどこからともなく落ちてきたはちみつドリンクを温存しておき、この章では遂に手に入ることのなかった天使の聖杯の機能を擬似的に持たせることで体力を倍加し、後は何とか奴のHPを削り切ってしまおうというものだ。実際ラスボスとは言うがメデューサのHPはいたずらに高いという訳ではなく(難易度HARDとかULTIMATEだとまた違うのかな)、荒削りな作戦でも押し切れそうな気がしたのである。
攻撃手順は分かっているので私の動きに迷いはない。2体のサーペントはそれぞれサラマンダーとウンディーネを当ててパニックにさせたところを叩く。そのうち精霊の魂が尽きたら後は周囲のMONOを当てて同じくパニック状態にさせ、そして叩く。ただ、今思えばここに判断ミスがあった。基本的にオートターゲット機能を持っているパチンコ攻撃と、操作に慣れてきてなおてんででたらめな方向に投げ飛ばしちゃうこともあるムチ操作とでは、パチンコ攻撃の方がより確実かつ素早くサーペントをパニックにさせられるのだから、これは敵の体力も減ってきて攻撃が熾烈化してからの攻防のために温存しておくべきだったのだ。そんなことも構わず、何だったら「そこいらの結晶石から精霊の魂を補充できたりするんじゃないかなあ」ぐらいの楽観的浅見でサラマンダーを打ちウンディーネを打ち…それこそ奴の攻撃が激しくなり始めたところで底が尽きてしまうと、「今度は私のターンだ」と言わんばかりの猛攻で見る間に劣勢に追い込まれてしまった。
うーむ、これは今しかない。ここまで温存し続けた最後の切り札、虎の子のはちみつドリンクを使うときがきた。奴のHPはもう2割を切っている。ここで体力を全快すればもう勝ちは見えたも同然。私は意気揚々とそこに置いてあるはちみつドリンクを……そこに置いて……そこに…

コント
コント(conte)とは、笑いを目的とする寸劇のことを指す。
フランス語の「conte」(短い物語・童話・寸劇)が語源となっている。
日本においては、20世紀半ばより演芸とされる分野の中で演じられるものが多い。
(出典:Wikipedia)

はちみつドリンクなんて初めからなかったのだ。さもなければ幻影が見えていたか。そうでもなければ戦いに集中するあまり知らず知らずの内に取ってしまったか、時間消滅したかということになるが、まさかそんなことが。ないないない。そんな初歩的なミスな訳がない。あれは初めから無かったのです。
死ぬかもしれない。途端に現実が襲ってきた。ここまできて負けてしまうのか? やはりラスボスを初見撃破だなんて、どだい無理な話だったのか? 夢のまた夢だったのか? 嫌だ。それだけは。それだけは避けないと。何としても勝たないと。だって、次また勝てるかどうかも分からない戦いに挑むための前置きとして、またあのアハハウフフをやらなきゃならんなんて面倒臭くてかなわんじゃないかーー!
そこから発揮した集中力は実に目を見張るものだったのではないだろうか。食らう攻撃によっては即死かというHPで果敢に攻め込み、しかし無理はせず引く時は引き、巧妙に奴の攻撃を避け続けて両脇のサーペントを倒し、本体へにじり寄って剣撃を食らわせる。これを2セット、ほぼ無傷でやったと記憶している。大体これまでは死に物狂いで放った決死の一撃が偶然ヒットして打開、みたいな「画にならない」クリアが常だった私が、最後の最後で見せた最も華麗なボス撃破。そうしてメデューサ戦は終わったのであった。
そして現れたリザルト画面。あー、終わったーっ。その瞬間の安堵感はわざわざここに書くまでもない。
しかし、終わってみれば最終章死亡2回。ラスボス初見撃破。これは私にとっては輝かしい成績だったのではないかと思う。決してタナトスストラウドより弱いという訳ではなかった(多分改めてやったらタナトスストラウドの方が楽に倒せる)にもかかわらず、1度も勝ちをもぎ取れなかったラスボスメデューサ。やはり彼女の最大のミスは、私にその攻略法、そしてそれを実行に移すために必要なアイテムなどを瞬時に悟られてしまったことだろう。両脇のサーペントがただ「サーペント」という名前であったなら。その色がオーソドックスな緑やもしくは斑模様であったなら。或いは彼女にも勝機はあった。次にお目にかかるのが、また1000年後ということになるのかどうかは知らないが、その時が来るとしたら、今度は今回の反省を踏まえて、しかるべき体裁で表舞台に立つよう、私は彼女に進言したい。

かくして聖剣伝説4、一周目のプレイは終わった。次に私には、二周目を難易度HARDでプレイするという選択肢が与えられている。いや二周目でなくとも、チャレンジアリーナをやるという選択肢もある。でも私は、少なくともしばらくは聖剣伝説4から離れようと思っている。何故か。忘れてはならないのだ。そもそも私は、次にDQ9をプレイするために聖剣4のクリアを決意したに過ぎなかったことを。そして、やや先走って購入したNintendoDSとDQ9のソフトがタイミングよく正にこの日届けられたということを。
「ハマったハマった」という割には随分あっさりと終わるようだが、でも最後にこのことは声を大にして言っておこう。

聖剣伝説4は神ゲーです。

そしてもう一つ。

上記の言葉に当方は一切の責任を持ちません。


進行状況:9日目


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