第4回 コーネリア国最強の騎士

コーネリア城内での聞き込み調査の結果、王女セーラをさらったガーランドは大方の予想通りカオスの神殿へと逃げ込んだらしい事が分かった。そりゃそうだ。何せこの島って(中略)あの馬鹿。

そんな事をブツブツ言っている内にいつの間にか四人はカオスの神殿へと辿り着いた。そして彼等はガーランドと対峙する。
光の戦士達と、ガーランドとの運命の初対面。その時ガーランドはこう言った。

王女は俺のものだ! 誰にも渡さん!
光の戦士だと。小賢しい奴等よ!
このガーランドが蹴散らしてくれよう!


うるせえ。

あ、いや、それは流石に言い過ぎかもしれないが、しかし無慈悲にも四人がかりでガーランド一人を殴りつける光の戦士達。FFというゲームの中では味方キャラクター達が弱い者苛めとも取られかねない行為に出る事が多々あるが、それは既にこの頃から培われていたものだったのだ。

かくしてガーランドをいたぶり倒し、コーネリア王女セーラを奴の手から奪還した光の戦士達は、王女と共に城へと帰っていった。
ただ、一つ気になる事がある。確かにガーランドは光の戦士四人による卑劣極まりない襲撃に遭ってやられはしたが、その実力がかなりのものなのは事実だ。実際光の戦士達であろうとも仮に一対一の勝負であったとすれば勝利は困難を極めた事だろうし、そしてコーネリア王自ら光の戦士達にすがり付かなければもうこの問題を如何とも解決し難かった状況を鑑みればコーネリア国にはガーランドを越えるナイトはいない、即ちガーランドこそがコーネリア一のナイトであると察せられる。
そのガーランドがコーネリアからいなくなった。もしかしてこれは憂慮すべき事態なのではないのだろうか。
国内随一の実力者たるガーランドは、恐らく城や町を守るべく周辺のモンスターを退治したりする事も多々あっただろう。むしろそういった任に就いていたからこそあれだけの力を持つに至ったか。ともかく彼にとってコーネリア周辺のモンスターなんてものは文字通り雑魚以外の何者でもない存在に過ぎなかった筈だ。
しかし、そのガーランドはもういないのだ。他に兵士がいない訳では勿論ないが、所詮彼等はガーランドの凶行を止める事が出来ず、光の戦士の登場に至るまで王女を連れ戻せなかった者達に過ぎない訳で、恐らく光の戦士達と比べてその実力は劣るのである。
最強の、そしてあまりに強く頼りになる守護者を欠く事となった一つの国家、コーネリア。この国に今、未曾有の危機が迫ろうとしている。
そしていずれ、国がその「危機」に瀕して王は、王女は、国民は、ようやく思い知るのだ。今までガーランドがどれだけ国の為に尽くしてくれたかを忘れ、「あんな事」があって以降彼を敬遠し排除しようとし、果てに掛け替えのない支えを失った事の代償を。


まあ「危機」っつっても、それゴブリンとかだけどな。


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